身近な日常の疑問に、明快な答えを与える研究には「小気味よさ」がある。
「Universite Paris-Diderot (パリ・ディデロ大学)」の Dr Sylvain Courrech du Pont らの研究チームは、「ラゲージを引っ張り歩くとき、なぜ左右に大きく横揺れするのか」に着目した。通路のバンプを乗り越えるときには、とくにラゲージが不安定になり、下手をするとひっくり返ることもある。
こんなときは、どうすれば良いか。結論を先に述べるなら、強くラゲージを引いて、ラゲージの走行スピードを上げる。これで問題は解決だ。
Dr Courrech du Pont らはラゲージの「translational motion (並進運動)」と「rotational motion (回転運動)」に関する理論的な方程式を解析するとともに、「treadmill (トレッドミル)」のベルト上にアルミ製のスーツケースを置いた実験によって、解析結果を確認した。
その結果、バッグやスーツケースを引っ張って歩いている最中に、横揺れを始めたら、引いているスピードを緩めてはいけない。かえって揺れが大きくなってしまうことが分かった。なお、研究の詳細は「Royal Society Proceedings A」に発表された。
なお、身近な物理学上の問題として、「Why shoe laces come undone (靴紐がなぜ、ほどけるか)」については、次のように説明されるという。
"They found the force of a foot striking the ground stretches and then relaxes the knot, while a second force caused by the leg swinging acts on the ends of the laces, like an invisible hand."
[ 研究者が明らかにしたところによると、足が地面に着地するとき、靴紐には、これを引っ張って、緩める力が働き、次に、足が地面を蹴る動作で、靴紐の両端に、これをほどく力が働くためだ。それはまるで、見えない手があるようなもの。]
(写真は添付のBBC Newsから引用。)