古いことわざに、「先んずれば、人を制す」とある。その出典は「史記- 項羽本紀」に書かれた「吾聞、先即制人、後即為人所制」。「先手、必勝」とも言う。
どうやら、これは「人との争い」や「戦い」、「剣道の技」に限らず、ミツバチや小鳥たちの世界でも、十分に通用する「テクニック」のようだ。
"habitats such as hedgerows and hay meadows are being lost in many countries, meaning that fewer nesting sites are avail."
[ 多くの国で、生け垣や干し草用の牧草地が失われつつあり、このせいで営巣に適した環境も減少している。]
しかし、自然保護団体には、謎が残る。なぜ、一部の小鳥や「bumblebees (マルハナバチ [ミツバチ科] )」の仲間が減少するのに、個体数を増やしている近縁の種も存在するのか。
そこで、Exeter 大学の Dr Andrew Higginson らの研究チームは、その謎の解明に取り組む。
ミツバチや小鳥たちの営巣地 (nesting sites) を巡る争いに、ゲーム理論 (game theorem) を適用し、自然環境データ(種の体長、営巣時期、営巣場所など)に基づいて、その数学モデル解析を行なった。
その結果、体が大きく、春早々と巣作りをする小鳥やミツバチの仲間が有利となり、遅く巣作りをする体の小さな種は、営巣の戦いに敗れて、個体数を減らすことが分かった。確かに、イギリスでは巣作りを早く済ませる「Chaffinch (ズアオドリ)」が競争に勝ち、それに遅れて巣作りを始める「goldfinch (ゴシキヒワ)」や「tee sparrow (スズメ)」が戦いに敗れて生息地を失い、個体数を減らしている。
したがって、動物保護活動 (conservation efforts) では、単に、小鳥たちの餌の心配をしてあげるだけでは不十分で、生息環境とくに営巣地の確保が重要となる。
生け垣 (hedgerows) の刈り込みを秋まで延ばしたり、木の上に巣箱を設置するだけで、どんなにか小鳥やミツバチにとっては幸せなことか。
なお、研究の詳細は「Behavioral Ecology and Sociobiology」に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)