ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

その不思議な医療技術:心の悩みを書かせて、免疫力を高める! (BBC-Future, June 2, 2017)

http://ichef.bbci.co.uk/wwfeatures/wm/live/976_549/images/live/p0/54/l9/p054l956.jpg

 この BBC の記事には「disclaimer (免責条項)」が付随する。記事の内容はあくまで「general information (一般的な情報)」であり、医学的、法的な医療責任を負うものではないことが記される。したがって、情報は読者の責任で、毎日の生活に活かすようにお願いしたい。

 1986年、Texas 大学の心理学者 James Pennebaker 教授は、学生の協力を得た実験で「something extraordinary (驚くべき医療事実)」を発見する。学生が心の中に秘めたトラウマや悩みごとを紙の上に書き表わすと、免疫力 (immunity) が高まり、その後 6ヶ月間、医師の診察を受ける機会が、「control group (対照グループ)」に比べて格段に減少した。
 今日、この医療手法は「psychoneuroimmunology (精神神経免疫学)」の分野において、「expressive writing (心情表記)」として知られている。

http://ichef.bbci.co.uk/wwfeatures/wm/live/976_549/images/live/p0/54/lh/p054lh0w.jpg

 その後、この単純な筆記作業で本当に病状が改善するのか、asthma (気管支喘息)、arthritis (関節炎)、breast cancer (乳ガン)、migraines (偏頭痛) などに関する研究が続く。
 なお、Kansasで実施された小規模実験によると、短期間 (in the short-term) に限って、女性の乳ガン患者に対しては「expressive writing (心情表記)」の効果が認められたという。

 さらに、California Riverside 大学の Ms Joanne Fratarolli が進めた「meta-analysis(メタ分析)」に基づく研究では、学生の腕に局部麻酔 (local anaesthetic) をして「punch biosy (パンチ生検)」で傷をつけ、「expressive writing (心情表記)」が「傷口を癒す方向に働くのか」を調べた。結果は、やはり、「事前に悩みごとを紙に書いた学生」のグループの方が、傷の治りが早まったという。

 また、New Zealand の Nottingham 大学 Dr Kavita Vedhara の研究チームはボランティア 120名を「expressive writing group (心情表記グループ)」と「control group(対照グループ)」の 2 グループに分けて、「punch biopsy (パンチ生検)」で傷をつける実験を行なった。その結果でも、「悲惨な体験 (distressing events)」を紙に書いたグループの傷は、「control group (対照グループ)」に比べて 6 倍早く癒されることが示された。なお、紙に書くのが「before (事前に)」であっても「afterwards (後で)」も、その効果に差が認められなかった。

 Dr Vedhara が、このBBC記事の執筆者で「BBC' s Health Check」の Ms Claudia Hammond に語ったところによると、

 "The effect is 'short-lived, but powerful."
[ 医療効果は長くは続かないけど、強力だわ。]
                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com