ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

クレタ島の村人はなぜ長生き?:その秘密は特別な遺伝子にあった! (BBC-Health, May 26, 2017)

https://ichef.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/722F/production/_96213292_gettyimages-179278876.jpg

 地中海に浮かぶクレタ島。その歴史は古く、紀元前7,000年前から人が住んでいたとされ、ギリシャ神話 (Greek mythology) にも牛頭人身の怪物「ミノタウレス(minotaur)」が生まれた島として登場し、多くの遺跡が発掘されていることでも知られている。

 そのクレタ島の北部「Mylopotamos (ミロポタモス地区)」の山あいにある2つの村 Zoniana (ゾニアナ) と Anogia (アノギア) が医学界で注目を浴びている。

https://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/8200/production/_96208233_crete_25_05_crete.png

 村の住人 (inhabitants) は、なぜか長寿 (living well into old age)。しかし、食べるものと言えば、地元産のラム肉 (lamb) に「クレタン・チーズ (Cretan cheese)」。

https://ichef-1.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/D020/production/_96208235_gettyimages-92449908.jpg


 通常、「飽和脂肪 (saturated fats)」の多い食品を食べ続けると、血液中のコレステロールとくに「low density lipoprotein (LDL) cholesterol (低比重リポタンパクコレステロール)」が上昇し、心臓疾患 (heart disease) や脳卒中 (stroke) の発症リスクが高まる。

 ところが、Zoniana と Anagia 村の住人には、ほとんど「心臓血管疾患(cardiovascular disease)」が見られないのだ。それに、2 型糖尿病 (type 2 diabetes) の人がいても、その人たちが「糖尿病性腎疾患 (diabetes kidney disease)」を発症することはない。

 これはなぜか。イギリスの NPO 遺伝子研究所「The Welcome Trust Sanger Institute」は、この疑問を解明するため、村人3,000人以上から DNA を採取し、そのヒトゲノム (human genome) を解析した。ヒトゲノムは、約 30億個の塩基対(letters) からなるひも状の情報ストリング。

 その結果は驚くべきものだった。なんと村の住人の遺伝子は、ヨーロッパ人には珍しい特別な「genetic variant (遺伝的変異体)」だった。どうやら、この遺伝子のお陰で、悪玉 (bad) の「natural fats (天然脂肪)」や「cholesterol (コレステロール)」が緩和され、心臓血管疾患の発症が抑制されているものと考えられる。

 これで、心臓病には遺伝子が大きく関わっていると言えそうだ。しかし、山あいに住むイタリア人だけが、なぜ「genetic variant」をもつようになったかは不明。

https://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/5AF0/production/_96208232_crete_zoniana2_tango7174.jpg

 その場所に住み続けるために、遠い先祖が遺伝子を変えて進化したのか、それとも環境によって遺伝子が変わったのか、あるいは単に特定の集団の遺伝子が何代にもわたって受け継がれて来たのか。なぞは深まる。

 なお研究者は、クレタ島の村人のように、人里離れて住みながら、長生きの集団としてよく知られた

・Amish in US                :アメリカのアーミシュ派
・Inuit in northern Greenland  :グリーランド北部のイヌイット 
・Orkney Islanders in Scotland :スコットランドオークニー諸島の住人

の人たちの健康の秘密にも迫ろうとしている。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)