土星 (Saturn) の第 2の月「Enceladus (エンケラドュウス)」は、直径約 500km。表面が「ice crust (アイス・クラスト)」で覆われている。内部を構成する岩石体は、土星から受ける強力な重力によって歪められ、そのときに発生する内部摩擦熱によっ高温になっていると考えられている。
すると、Enceladus の地下数千kmには、氷が溶けた内海 (internal ocean) が広がっていることになる。
その海の状態は、おそらく、地球の太平洋の海底で、北から南に長く延びる「mid-ocean ridges(中央海嶺)」で起きている現象に似ている。
そこでは、「serpentinisation (蛇紋岩化作用)」と呼ばれる現象が繰り広げられ、鉄・マンガンを多量に含む「hot upwelling rocks (高温の岩石流)」が噴き出し、海水中のH2O分子を取り込んで蛇紋岩の結晶構造が形成されている。
このときの反応で、副産物として放出されるのが水素 (hydrogen)。したがって、中央海嶺の周りには、その水素を、生命体の代謝 (metabolism) に必要なエネルギー源とする「微生物 (microbes)」がたくさん生息している。
土星探査機「Cassini (カッシーニ)」は、Enceladus から噴出された水蒸気を採取し、これを「The Southwest Research Institute (サウスウエスト研究所)」の Dr Hunter Wailらの研究グループが、まる1年費やしてデータ解析した結果、その水蒸気の噴出は、ほぼ間違いなく (arguably)、地下数千kmの内海で起きた「serpentinisation (蛇紋岩化作用)」に由来するものと判断されるという。それならば、Enceladus にも微生物がいるに違いない。
現在、太陽系 (the Solar System) で生命 (life) が存在している可能性の高い天体は、Mars (火星)、木星の月 Europa (エウロパ)、そして Enceladus だ。
最初に、「地球外生命体 (extraterrestrial life)」が発見されるのは、一体、どこになるだろうか。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)