パーキンソン病 (Parkinson's disease) とは、脳内神経細胞が死滅し、神経伝達物質「ドーパミン(dopamine)」が減少する病気。病気の進行 に伴って、手に震い(tremor) や歩行・運動機能障害などが現われる。
なぜ、神経細胞が死滅するのか、その原因は不明。したがって、医師は薬を処方し、症状を和らげることはできるが、病気の根本原因を治療することはできなかった。これまでも、治療法の開発は進められて来たが、それらの多くは、損傷を受けた箇所に、新たなドーパミン・ニューロン (dopamine neurons) を細胞移植することに、目を向けられていた。
そこで Reading 大学の Dr Patrick Lewis らの国際研究チームが取り組んだ治療法は、「小分子化合物の混合液 (a cocktail of small molecules)」を使用して、脳神経細胞を再プログラム (reprograming) 化させる方法。
この混合液を人間の星状膠細胞のサンプルと混ぜ合わせると、「dopamine neurons」に極めて近い物質が得られた。
次に、パーキンソン病の症状を示すマウスに、その疑似ドーパミン・ニューロンを注入したところ、症状が緩和されたという。
しかしながら、研究は極めて初期段階に留まるため、この治療法の安全性ならびに人間に対して有効であるかを実証するまでには、今後、さらに多くの研究が必要とされる。
現在、数百万人の患者が、根本的な治療を待ち望んでいるパーキンソン病。今回、開発された治療法が一刻でも早く「viable therapy (実行可能な治療法)」となることを期待したい。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)