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若返り新薬の研究開発に成功:販売はいつ? (BBC-Health, March 23, 2017)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/936/cpsprodpb/FF1D/production/_95290356_gettyimages-622974976-1.jpg

 人は 20歳前後を過ぎると、免疫力が低下し、目、肌、関節などに支障が出やすくなる。これは、複雑なシステム系がたどる故障率の時系列変化 (bath-tub curves) に合致する。

 これまで、どれほどの人間が病気に罹らないことを祈り、過ぎた青春を悔い、そして若返りを願ったことか。その切なる願いの強さは、昔話「若返りの水 (関敬吾編:日本昔ばなし、岩波文庫)」をはじめ、多くの「若返りの水、泉」の類話が日本各地に伝わることからも、うかがい知ることができる。

 さて、人の一念は恐ろしいもの。どうやら、「若返りの薬」がついに完成したようだ。
 オランダ「Erasmus大学医療センター」の Dr Peter de Keizerらの研究チームが、失敗を繰り返しながらも、衰えた肝機能を修復し、運動機能を飛躍的に高める新薬の開発に成功した。この新薬は次のように説明される。

"The approach works  by flushing out retired or 'senescent' cells in the body that have stopped dividing."
"They accumulate naturally with age and have a role in wound healing ad stopping tumours."
"But while they appear to just sit there, senescent cells release chemicals that cause inflammation and have been implicated in ageing."

[ この新薬には、体内で細胞分裂が続かなくなって、役目を終えた細胞すなわち老化細胞を洗い流す働きがある。]
[ 加齢に伴って老化細胞が体内に蓄積されると、割傷治癒やガン細胞の生長を妨げる役目を果たすようになる。]
[ しかし、そのまま老化細胞が居座り続けると、炎症の原因となる化学物質が分泌されるようになり、それが老化に深く関与していることが知られている。]

   Dr Keizer らは、寿命の迫ったマウス (マウス年齢 90歳) に、開発した若返りの新薬を週 3 回投与し、ほぼ1年にわたって臓器、運動能力などの変化を調べた。この結果、肝機能の他に毛皮まで若返り、回転リングで走り続ける運動量も 2倍になった。「よぼよぼマウス」は、スタミナのある「元気はつらつマウス」に生まれ変わったのだ。

 ただし、人間に対しても効き目があるかは、試してみないとわからない。まさに、
"The proof of pudding is in the eating."
[プディングのできぐあいは、食べてみないと分からない。論より証拠。]

エルムス大学の研究チームは今後、臨床実験 (human trials) で、若返り効果を立証する予定だ。なお、詳細な研究内容は医学雑誌「Cell」に発表された。
 この論文に対して、イギリスの「King's College London 」の幹細胞 (stem ) 研究者Dr Dusko Ilic は、疑問が残るものの、

"The finding is impossible to dismiss."
[ 今回の若返り新薬の発見を不可解なものとして撥ね付けるのは、無理。]

 いつか、オランダ特許の若返り薬が、世界中で爆発的に売れる日が来るかも知れない。

                (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com