今から 50 - 60年前の1960年代、イギリスでも「植物油 (vegetable oils)」は貴重な食材 (precious commodes) だった。Leeds大学 Tim Benton 教授のお母さんも、フライ料理を作るときなど、きちんと計量し、大切 (sparingly) に使ったそうだ。
ところが、この 30年間で大豆、ココヤシなどの油料作物 (oil crops) の生産量が急増し、安価な植物油が世界中に大量に出回るようになった。その原因は、経済のグローバル化 (globalisation) に伴って植物油の自由貿易が促進されたこと。これに加えて、マレーシア、インドネシアなどの国々が、農家に助成金 (subsidies) を出すなど、輸出用植物油の生産に積極的に関与したことにある。
世界中のどこでも、安価な植物油が手に入るようになったお陰で、貧困国の飢饉(famine) が救われた面は否定できない。しかし、一方で、地域に根付いていた「地産地消」の食糧生産・消費システムは崩れ、Benton 教授が指摘するように
"The poorest of poor have access to cheep calories."
[ 極貧にあえぐ人々は、安物カロリー食品に手をのばすことに。]
ならざるをえなくなったのだ。そして栄養 (nutrients) バランスも崩れた。
一例としてアンデスのキヌア (quinoa) が挙げられる。アンデス山脈で 7,000年以上の昔から栽培されて来たこの穀物が、栄養のバランスの優れた「superfood」として、ヨーロッパ・北米でもてはやされると、その価格は急上昇し、地元庶民の口に入らなくなった。
この結果、裕福な国以外にも、肥満があふれ、今や地球上の人口の過半数を肥満が占めるまでになった。
"A small amount of fat is an essential part of a healthy, balanced diet. But fats are high in calories so eating a lot can increase the risk of becoming overweight or obese. Saturated and trans fats are also associated with heart disease."
[ 少量の脂質は健康でバランスのとれた食事に欠かせない。しかし、脂質は高カロリーのため、これを摂取し過ぎると、過体重、肥満のリスクが高くなる。また、バター、マーガリン・ポテトチップスにそれぞれ多く含まれる飽和脂肪酸、トランス脂肪酸は心臓病に深く関与している。]
さらに、安い食用油がたっぷりと利用できるようになり、料理まで変わったという。中国やブラジルでは、家庭用料理に大量の揚げ油やサラダ油が使われれているとか。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)