北米、ヨーロッパ旅行の楽しみの一つは、なんと言ってもチーズ (cheese)。これにブドウ、イチゴなどの果物を添え、白いカップにコーヒーを注ぐと、最高の贅沢気分となる。とくにパリではチーズの種類が豊富で、値段が破格だった。
チーズは牛乳の他にもヤギ乳、ヒツジ乳を乳酸発酵させて作られる。このとき、生乳(raw milk)の「低温殺菌 (pasteurisation)」処理を省くと、殺菌処理して作ったものに比べて、風味 (flavour) も味 (taste) も違ったチーズができあがる。フランス産チーズの 1/5がこの方法で製造されている。
さて、New York 州の「Vulto Creamery」会社が、生乳(無殺菌乳)を使って製造したソフト生乳チーズ (soft raw milk cheese)、商品名「Ouleout」は「pungent and meaty (ピリッとした味で、肉のようなチーズ)」だった。
ところが、このチーズを食べた人が「listeria (リステリア菌)」による食中毒を発症し、そのうちの 2名が死亡した。食中毒患者は New York, Florida, Connecticut, Vermontの各州で確認された (計6名)。このため、製造会社は 3月 7日 (火)、この商品のリコールを開始。
リストリア菌は、加熱 (cooking)するか低温殺菌 (pasteurisation) 処理で死滅するが、冷蔵庫の中では生き続けるという。
「The US Centrers for Disease Control and Prevention, CDC (アメリカ疾病管理予防センター)」によると、生乳(無殺菌乳)に潜むリステリア菌で食中毒に罹ると、何日も下痢 (diarrhoea)、胃痙攣 (stomach cramping)、嘔吐 (vorming)に悩まされ、まれに腎不全(kidney failure)、倦怠感 (paralysis)、慢性疾患 (chronic disorders) を引き起こし、死に至ることもあるという。
とくに、免疫力が弱っている高齢者、妊婦、子どもは危険だ。
なお、USA の 20州でチーズなどの無殺菌乳製品 (raw milk products) は許可されていないが、25州の酪農家で作られて、13州で販売されている。
また、イギリスに限ると、生乳 (無殺菌乳) の販売が禁止されているのはスコットランドのみ。生乳も、それから作られたチーズ (輸入品) も販売されている。
ちなみに「チーズ」に関心のある方には、次の一冊を勧めたい。
・齊藤忠夫:チーズの科学 ミルクの力、発酵・熟成の神秘、講談社ブルーバックス、2016
(写真は添付のBBC Newsから引用。)