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アボリジー先祖の歴史:DNA解析で見えた50,000年前 (BBC-News, March 9, 2017)

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 アボリジー (Aborigine) の語源はラテン語「ab origine」、すなわち「from the beginning (当初から)」の意で、「イギリスの入植者 (colonists)」の反意語として、1500年頃から差別に使用された言葉だ。日本語では「原住民」となる。

 今でこそ、「inhabitants (住民)」あるいは「indigenous people (先住民)」と文書で記されるが、およそ 500年間「原住民」として、蔑 (さげす) まされてきた歴史がある。

 1,788年、イギリスは、オーストラリア大陸を流刑植民地にすると、ここに送り込まれた犯罪者や入植者達は、まるで鳥や獣を狩るかのように、アボリジーをハンティングし、殺戮の限りを尽くした。さらに 1869年、政府は教育政策と称してアボリジーの子どもを強制的に親から切りす「Project」を開始した。その本当の目的は、アボリジーの言語・伝統・文化とアボリジー民族そのものをこの世から抹殺することにあったと言われている。

 さて、そのアボリジーの先祖はどこからやって来たのか。
 Adelaide大学の Alan Cooper 教授らの研究グループは、DNA解析によって、その歴史に迫り、研究成果を科学雑誌「Nature」に発表した。
 Cooper 教授らが研究の拠り所としたのは、1900年代初めに人類学者 (anthropologists)がオーストラリア各地から採取した 111本の髪の毛サンプル。その頃になると、白人が入植する以前には約 50万~100万人と言われたアボロジーの人口が、白人の徹底した隔離政策と、白人が持ち込んだ伝染病、白人の容赦ない殺戮などが原因で、人口は約 7万人に激減していた。

 Cooper 教授らは、からくも髪の毛に残された純血のアボリジー特有の「遺伝子物質(genetic material)」を分析し、「母系の先祖 (maternal ancestry)」の軌跡をたどった。
 すると見えてきたのは、今から 50,000年前、New Guinea がオーストラリア大陸と陸続きであった時代に、アボリジーの先祖がオーストラリア大陸に足を踏み入れ、その後、2,000年の間に、大陸の西側と東側の海岸に沿って定着して行った事実。

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/768/cpsprodpb/16B2E/production/_95047929_d13cf4d8-0823-4ac9-af9c-96c38e50f949.jpg

                                                                           (写真は添付のBBC Newsから引用。)

 Cooper 教授が語るには、『この研究で、少しばかり驚かされたのは、アボリジーがこの地に定着すると、そこからは、もはや移動しようとはしなかったこと。大陸にやむなく定着せざる得なかった理由 (compelling reason) も明らかにされているが。』
 なお、この BBC の記事ではその詳しい理由は説明されていない。興味のある方は、ぜひ「Nature」のご一読を。
                              
        

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