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サッカー選手のヘッディング:脳外傷を招き、認知症に?  (BBC-Health, February 15, 2017)

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  病気 (diseases) とその原因 (causes) との関係、いわゆる因果関係 (cause-and-effect link) については、これまで、ずっと争われて来た歴史がある。農薬 DDTとガン・奇形、タバコとガン、無機水銀と水俣病、大気汚染と喘息などの呼吸器系疾患、食品添加物や加工肉 (ハム、ソーセージ) とガン、放射線汚染とガンなど多くの例を挙げることができる。

 その都度、関連する業界とこれを擁護する科学者・政治団体は、一般市民の声に猛反発した。確立した (definitively) 科学的な「証拠 (evidence)」はあるのかと。法廷では、調査能力も、資金もない市民・被害者側に、その証拠の提出を迫った。そして、大抵は、都合の悪い事実を隠蔽 (sweep the facts under a carpet) した。

 そこにもう一つ、やっかいな「原因と結果 (発症)」が加わった。サッカー選手(football players) のヘッディング (headers) と認知症 (dementia) との関係だ。
 London大学「University College London」の Huw Morris 教授らと Cardiff 大学の研究者が、共同でプロのサッカー選手 5名とアマチュア選手 1名の計 6名について、死後に「検視解剖 (post mortem examinations)」を実施した。検査対象者のサッカー歴は平均26年。どのサッカー選手も 60歳代で認知症を発症し、亡くなっていた。

 Morris教授らは、脳の解剖結果に驚く。
 いずれのサッカー選手の脳にもアルツハイマー病 (Alzheimer's disease) の兆候が認められ、脳の血管 (blood vessel) に異常がある選手もいた。また、検視解剖した 6人中、4人の脳に異常が認められ、「Chronic Traumatic Encephalopathy, CTE (慢性外傷性脳症)」と診断された。CTEは「memory loss (記憶喪失)」、「depression (鬱)」、「dementia (認知症)」との関わりの深い症状だ。

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 2002年、England のチーム「West Brom Albion」の著名な striker であったMr Jeff Astleは、若くして認知症を発症し、59歳で亡くなった。
 その後、検視解剖の結果、現役時代に繰り返された、重いサッカーボールのヘッディングが脳の外傷を招いていたと判断された。しかし、Mr Astle の娘の Ms Dawn Astle の証言によると、当時のサッカー界は、この事実を隠そうとしたという。

 研究者らは、今回の研究結果がヘッディングと認知症との関係を確定するものではなく、さらに長期間に及ぶ大規模な研究が必要であると、あくまで慎重な姿勢だ。
 また、今のところ、レクレーション・レベルのサッカーや、子どものサッカーゲームでは、脳に外傷を受けることはないだろうと見る。

 なお、一連の研究内容は医学雑誌「Acta neuropathologica」に発表された。
                              (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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