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賢者ヨーダの心:その心に近づく秘訣とは! (BBC-Future, January 24, 2017)

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 「叡知 (wisdom)」の「叡(えい)」とは、深い谷底をえぐるように、その目で事の本質・真理を見極めること。したがって「wisdom」とは決して単に人の「賢さ」や「頭の良さ」、「道理・分別をわきまえる能力」を表わす言葉ではない。むしろ、通常の心の境地を超越した「悟り」に導く知力とも捉えることができる。
 英語で「wise man」とは、不思議な力を秘めた「魔術師」のことだ。

"Wisdom is something that's hard to define and yet somehow we know it when we see it. The wise people stay calm in a crisis. They can step back and see the bigger picture. They're thoughtful and reflective. They recognise the limits of their own knowledge, consider alternative perspectives, and remember that the world is always changing."

[ 叡知とは定義の難しい言葉だ。しかし、それでも、人は叡知を目(ま)の当たりにすることもあり、何とか、これを知っている。叡知を備えた賢者は、危機にあって冷静沈着。物事を見るときは、歩を引いて広い視野で眺め、熟考を重ねては、内省を繰り返す。己が無知であることを知り、一つの見方にこだわることなく、この世は常に変化するものだと心得ている。]

"Wisdom mustn't be confused with intelligence. Although intelligence helps, you can be intelligence without being wise. The wise people tolerate uncertainty and remain optimistic that eve tricky problems do have solutions. They can judge what is true or right. It's quite a list."

[ 叡知と知性を混同してはいけない。知性は役に立つものではあるが、叡知が欠けていては、知性的になり得ない。賢者は、物事が不確実であっても、それはそれとする。やっかいなことにも、解決の糸口があるものだと気楽に構える。賢者は、何が真実で正しいかを見極めることができる。と、まあ、賢者について全て羅列すると、こんな具合だ。]

 さらに、カナダ Waterloo 大学の Igor Grossman 講師によると、
"Wise reasoning is associated with a whole lot of positive: higher life satisfaction, fewer negative feelings, better life relationships and less depressive rumination."

[ 賢者の論理的思考は、物事を全て肯定的に捉え、人生に満足感を覚え、後ろ向きの感情を持たず、人間関係をよく保ち、沈んだ考えに陥らないことに結びついている。] 

 そして、叡知が深まるにつれ、幸せ度 (levels of well-being) が増すという。そこには知性 (intelligence) や IQレベルなどは関与しない。

 一方、Cornell 大学の Robert Stemberg 教授によると、

"Wisdom is all about balance"
[ 叡知とは、全て心のバランスにある。]

"A wise person is able to complete a mental juggling act - to balance the short-term with the long-term, self-interest with the interest of others, while considering all the options - adapting to the current situation, trying to shape it or looking for a new situation."

[ 賢者は、相反することに関して、自分の心を意のままに操ることができる。現状を鑑み、あらゆる選択肢を頭に入れて問題を浮き彫りにし、状況が進展するように、すぐ目の前のことと長期的なこと、自分の興味と他人の興味とのバランスを図ることができるのだ。]

  また、ジレンマ (dilemma) に陥ったとき、そこから抜け出るためには、自分から離れた目を持つことが大切だと、Stemberg教授は教える。そのためには第三者の立場に立って考えるとよい。人は、自分のことを自分で見つめることが苦手だが、他人のことになると、よく気がついて、評価レベルが格段に上がるものだという。
 また、Dr Grossman も、空を飛ぶ鳥になったよう (bird-eye-view) に、あるいは壁の上のハエが、辺りを見渡すような目で、状況観察することを勧める。

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 さて、では、私たち凡人は、ジェダイ・マスター「Yoda (ヨーダ)」のような賢者に近づけるのか。
"You need to take into account that people will different goals, priorities and responses to your own, across the sort-term and long-term. If you can juggle all that, you probably are showing wisdom."
"It's not that you suddenly become the next Buddha, but you do become a little bit wiser."

[ 短期的であれ長期的であれ、人が目指すゴールや人の大切にするもの、そして自分に対する反応は、人それぞれ違うものだということをよくよく考える必要がある。その上で、全てをバランスよく処理できるならば、それは、叡知を示したと言っていいだろう。]
[ しかし、突如として、お釈迦様の生まれ変わりのようにはならない。それでも、そのとき、あなたは、ほんの少しだけ賢者に近づいているのだ。]

 世の中は広い。フランスで厳しい心の修行をし、ヨーダの弟子 (disciples) のようになった人は確かにいる。あなたにだって、お釈迦様の心に近づくことはできるはず。

 なお、この記事 (article) を書いた Ms Claudi Mmmond には脱帽だ。その明晰な分析力、文筆力 (writing skills of English) のいずれも、ずば抜けている。ぜひ、原文を熟読するように。
                             (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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