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野鳥の生態系に異変:野に放たれた外来種ペット大いばり (BBC-Science & Environment, January 13, 2017)

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 我がもの顔の人間の、身勝手さと我がままと飽きっぽさから、野生生物の生態系が壊されることは多い。
 釣りが好きだと言っては、近くの川や池にブラックバスを放流し、テレビアニメでかわいいと言ってはラクーンを飼い、面白そうな花だと言ってはセイタカアワダチソウを持ち帰る。そして、やがて、それに飽きると、何の呵責(かしゃく)を感じることもなく、いとも簡単に「organisms (生命体)」を捨てる。
 しかし、どれもこれも、野生に放たれた外来種 (alien species) は手に負えなくなるほどに増え、在来種 (native species) を駆逐する。こうして生態系は、水の中であれ、陸上であれ、確実に破壊されるのだ。
 
 イギリスでは、園芸家が不用意に日本から持ち込んだ「イタドリ」が野生化し、レンガやコンクリート建造物を壊すなど、猛威をふるう有様。
 さらに、外来種の野鳥 (ペットなど) が、わが物顔で空を飛び回り、在来種の生態系を脅かすほどに、数を増している。
 なんと、過去 500年間でイギリスに持ち込まれて、繁殖を続ける外来種は、鳥類だけでもおよそ 1,000種。そのうちの約半数の種は、1950年以降にペット業者 (pet trade) によって持ち込まれたと考えられている。

 そもそもイギリスに外来種の野鳥が持ち込まれる切っ掛けをつくったのは、19世紀中頃にブームとなった「bird hunting (バード・ハンティング)」。野鳥を銃で仕留めるゲームだ。このゲームのために「game birds (狩猟鳥)」として、duck (カモ)、geese (ガチョウ)、 grouse (ライチョウ)、 pheasants (キジ) などの野鳥が海外から意図的 (deliberately)に大量に導入された。このとき、当時イギリスの植民地であった中緯度地帯の国々からも、狩猟鳥以外の珍しい鳥が持ち込まれたという。

 そして、第2次世界大戦が終わると、外来種の野鳥がイギリスで急増する第 2の波がやってくる。
 一般家庭が豊かになり、家計に余裕が生まれて、ペットブームが起こったのだ。人々は競ってparrots (オーム)、finches (フィンチ)、starlings (ムクドリ) などの珍しい小鳥を飼い出した。小鳥の需要は広がり、ペット業者は世界中の珍鳥を探しては、売りつけた。

 しかし、意図的であれ、過ちからであれ、一度、外来種の小鳥が篭 (かご) から野生に放たれると、それは新たな環境に適応し、仲間を増やし続ける。

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 その一例として、「Ring-necked Parakeets (ワカケホンセイインコ)」は元々、アジア亜大陸 (インド、スリランカ) に分布する野鳥だ。それが、今ではイングランド南東部で、ごく普通に見られるようになった。
 また、北アメリカ大陸から持ち込まれた「ruddy ducks (アカオタテガモ)」は繁殖力が強く、在来種の「European ducks」との雑種が数多く確認されたため、イギリス政府は、国内から根絶することを決定している。

 なお、UCL(London大学), ZSL(ロンドン動物学会)、Adelaide大学、Cambridge大学、Exeter大学、Queensland大学、Imperial College London の国際共同研究チームによって、「外来種の野鳥の生息状況」が詳細に調査され、その結果は科学雑誌「PLOS Biology」に発表された。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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