南極の異変は続く。棚氷 (ice shelf) に次々と亀裂が入り、裂け目が広がっている。
イギリスの南極基地「Halley base (ハレー基地)」は「Brunt Ice Shelf (ブラント棚氷)」の上に設営されている。その基地から数十kmほど内陸に入った地点で、昨年の10月31日、延長 40kmに及ぶ巨大な「chasm (亀裂)」が発見され、発見日にちなんで「Halloween Crack (ハロウィーン・クラック)」と名付けられた。
ところが、今度は、ハレー基地の西側に、大きく口を開けている割れ目 (crack) が見つかった。裂け目が拡大すると基地は真っ二つになる恐れがあるという。
南極は今が夏。しかし、この夏が終わると、飛行機は使えず、日中でも暗い、極寒の冬に入る。冬季の移動、避難は極めて危険だ。
「The British Antarctic Survey (英国南極調査局)」は、棚氷で相次ぐ亀裂の発生を目の当たりにし、「Brunt Ice Shelf」で大規模な「ice calving (氷山分離)」が発生することはないかも知れないが、今後、ハレー基地周辺で何が起こるか、全く「予測不可(unpredictability)」と判断。基地は一旦閉鎖し、23kmほど内陸部に研究施設を移設することにした。
基地の研究ステーションは、「high-tech pods (ハイテクの建屋)」が横一列につながった研究棟から構成され、容易に移動できるように、それぞれの建屋に油圧式の足(hydraulic legs) とスキーが設置されている。すでに基地の移設は開始されていて、まもなく全ての作業が終了する見込みとか。
なお、イギリスは「Halley base (ハレー基地)」および「Antarctic Peninsula (南極半島)」の一帯を「The British Antarctic Territory (イギリス領南極地域)」とし、その領有権を主張している。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)