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ビタミンDサプリ:フランスで販売停止 (BBC-News, January 4, 2017)

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 「命は宝の宝」と言う。人の命は何にもまして貴い、とする教えだ。イギリスでも、
「While there's life there's hope. (命ある限り、希望有り)」とのことわざがある。しかし、その「命(life)」に責任のある政治家 (politicians) や商人 (merchants) が、心底から、他人の命を自分の子どもの命と同じように「宝の宝」と思っているのか疑わしい事件がまたも起きた。
 
 昨年の12月21日、生後10日の新生児 (newborn baby) が、フランスの製薬会社「Crinex」の液体ビタミンD サプリメント「Uvesterol D」を投与されたところ、呼吸困難に陥り、心肺停止 (cardio-respiratory arrest)」の状態になって 2時間後に死亡した。
 この事故を受けて、フランスの厚生省「Agence Nationale de Sécurité du Médicament, ANSM」は、Uvesterol D が新生児の死亡に関与した可能性があるとし、このビタミンDサプリの販売を一時停止することにした。

 しかし、政府当局は、なぜか、サプリメントによるこの死亡事故をすぐに公表しなかった。フランスのメディアによって明るみになったのは、事故から 12日経った1月2日(月) のことだ。
 フランスでは、「ビタミンD 欠乏症 (vitamin D deficiency)」の予防のためと称して、5歳以下の子どもに対し1990年に販売された Uvesterol D が広く使用されて来た。
 ところが、「Le Monde (ル・モンド)」紙が暴露したところによると、このビタミンDサプリについては、これまでも深刻な副作用の症状が報告され、長年にわたって、その投与のあり方が懸念されていたという。

 実のところ、2006年、この副作用 (adverse effects) の事実を知った当局は、服用する量を規定するように製薬会社に指導し、これを受けて、Crinex は同年、付属のピペットに改良を加えて、サプリメントが少量ずつ服用されるようにした。
 さらに、2013年、当局は、子どもに液体の Uvesterol D を飲ませるときには、「半座居の姿勢 (semi-sitting position)」をとらせ、口の中にピペットで一滴ずつ (drip-by-drip)垂らすように勧めた。

 しかし、医学雑誌「Prescire」によると、製薬会社 Crinex と政府当局がこれまでにとった処置は、どれも「中途半端 (semi-measures)」で、問題を「先送り(procrastination)」するものばかり。このため、2014年、専門家は新生児対して「Uvesterol vitamin supplements」を使わないようにと呼びかけていた。

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 それにも関わらず、フランスの厚生大臣Marisol Touraine (マリゾル・トゥーレーヌ)」は、「Uvesterol D は安全だ、事故があったのは飲ませ方に問題があったから」の姿勢を崩さない。そして、

"She promised parents 'transparent, objective and reliable information'."
[ 当の厚生大臣は、お母さん方に、透明性があって、客観的かつ信頼できる情報を約束した、とか。]

 一方で「死亡事故との関与が疑われる」とし、他方を見ては、本心を露わに「あれは全く安全なサプリ」と発言する Ms Touraine。他のものには替えがたい「命」の大切さを顧みない、「ちぐはぐ」なフランス人がいることに驚く。
 ちなみに、イギリスではこのビタミンDサプリ「Uvesterol D」の販売が認可されていない。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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