8人に 1人の男性が、一生の間に一度は罹るとされる病気。それは前立腺ガン (prostate cancer)。イギリスでは毎年、46,000人以上が前立腺ガンと診断され、約 11,000人がこの病気で命を落としている。
しかも、腫瘍 (tumours) は徐々に進行し、罹患者の90%が「electric problems (陰萎)」に、また 20%が膀胱 (bladders) のコントロールを失う「Incontinence (失禁)」に悩まされるという。
治療法としては、「surgery (手術)」、「radiotherapy (放射線治療)」、「High Intensity Focused Ultrasound, HIFU (集束超音波治療)」などの選択肢がある。しかし、初期段階の前立腺ガンを慌てて治療しても、しなくとも結果は同じ。したがって「wait and see(ようす見)」も選択肢であることは、すでにBBC記事 (Sept 15, 2016) で述べたとおり。
ところが、ここに革新的 (transformative) な「レーザー治療法」が医学雑誌「The Lancet Oncology」に掲載された。
技術開発に携わったのはイスラエルの「The Weizemann Institute of Science (ヴァイツマン科学研究所)」と「Steba Biotech」社。
この治療法の中核をなすのは、「fibre optic lasers (光ファイバー・レーザー)」と、深海底に生息し、光に当たると毒性を発する「バクテリア (deep see bacteria)」。
まず、深海底のバクテリアから抽出した「光反応薬剤 (light-response drug)」を患部に注射し、次に、光ファイバーを「perineum (会陰)」から挿入して、前立腺ガン腫瘍に「red laser (赤色レーザー光)」を照射する。すると、光に当たった箇所の薬剤が活性化されて、ガン腫瘍を死滅させる。この治療法では、健全な前立腺の細胞を傷めずに済む。
すでに、ヨーロッパ各地の 47病院で、計 413名の被験者に対してこの新レーザ治療の臨床試験が実施され、その 49%が「完全な回復 (complete remission)」に成功している。しかも副作用 (side effects) はほとんど発生していない。
イングランド West Sussex に在住の Mr Gerald Capon は、この治療を受けた翌日に退院したという。
ただし、新レーザー治療法が、一般の病院で実施されるようになるのは、来年に予定されている「審査 (assessment)」以降になるとか。
一刻も早くと待ち望んでいる人は、どんなにいることだろう。患者の見地に立った、良識ある、すばやい関係機関の対応と判断を期待したい。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)