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映画を観るとエンドルフィン放出:痛みも忘れ、幸せ気分! (BBC-Science & Environment, September 21, 2016)

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 映画ファンにとっては、たまらない研究結果が発表された。なんと、「映画を観ると脳内伝達物質「エンドルフィン (endorphins)」の分泌が促され、痛みも忘れて、幸福感に満たされる」。 Oxford 大学で「evolutionary psychology (進化心理学)」を専門とするRobin Dunbar 教授らの結論だ。

 Dunbar 教授らは、ボランテイアの被験者に、映画「Sturt: A life of Backwards」を鑑賞してもらい、その「before and after」で実施した筋トレ「wall-sit test (空気イス)」中に分泌されるエンドルフィンの放出量を調べた。
 その結果、映画を観て、最大の「情緒反応 (emotional response)」を示した人は、筋肉の痛みを忘れて「痛覚閾値 (pain threshold)」が大きく上昇し、「社会との絆 (social bonding)」を深めたいと願う感情も高揚した。Dunbar 教授はこれを次のように分析する。

"The fascination with story telling was forged in ancient times when we began to live in hunter gatherer communications."
"There are good social reasons: folklore enables us to pass on wisdom or ingrain community values, bringing us together. While that is important, it does not fully explain why we are willing to return again and again to be entertained."

[ 人間が物語に引き込まれてしまう特質は、その昔、狩猟採集集団の中で暮らし始めたときに、身についたもの。 ]
[ 物語がおもしろいと感じることには、正当な社会的理由がある。かっては、民間伝承を語ることによって、民族の知恵やコミュニティの価値観を後世に伝え、団結を強めたのだ。ただし、その重要性は理解できても、なぜ、何度も何度も物語を楽しみたいと願う気持ちが、私たちの心の中にわき起こるのかについては、十分説明できていない。]

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 つまり、映画やドラマを観て感動し、脳内でエンドルフィンが分泌されるのは、人間が集団生活に溶け込んで行くために身に付けた、進化の証 (あかし)。物語を聴くことによって、人は幸せ感に満たされ、仲間との絆(きずな)を深めようとする。これは人間の性(さが)となり、たとえ、少々つらいことがあっても、「natural painkiller (天然の鎮痛剤)」としても働くのだ。

 なお、研究の詳細は「Royal Society Open Science」に発表された。
                (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com