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初期の前立腺ガン:慌てて治療する必要なし! (BBC-Health, September 15, 2016)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/1697B/production/_91193529_c0231771-prostate_cancer_cell_sem-spl.jpg

 誰でも、なにがしかのガンと診断されると、狼狽、動転してしまう。しかし、注意が必要なのは診断後の治療。医師の薦めに盲従し、治療を慌ててはいけない。「The New England Journal of Medicine」にその証拠 (evidence) が掲載された。

 一般に、「前立腺特異抗原 (prrostate-specific antigen, PSA)」検査で陽性と判定されると、これを摘出する「外科手術 (surgery)」、「放射線治療 (radiotherapy)」、「ようす見 (simply monitored)」のいずれかの選択を迫られる。
 しかし、イギリス Oxford 大学の Freddie Hamdy 教授らが、初期 (early stage) の前立腺ガン (小さな腫瘍) 患者 1,643人について行なった臨床試験の結果では、どの選択肢をとっても、10年間の生存率 (survival rate) は 98% と、変わらなかった。

 それなのに、外科手術を受けると、重大な副作用が発生する。「夜のおつとめ」に支障を来たし、「失禁 (incontinence)」の恐れも生じる。また、放射線治療についても、副作用として大腸ガンの発症リスクが高まる。
 一方、「ようす見」にもまったくリスクがないわけではない。20%の確率ながら、ガンは進行する可能性があるのだ。

 以上の点から総合的に判断すると、生存率が同じならば、結局、選択肢の中では、副作用の心配のない「ようす見」が懸命ということになる。

 それでも、
"At the moment, many men decide against active surveillance because of the uncertainty about the impact of that choice and the anxiety it cause."
[ 現在、多くの人は、「ようす見」の不透明感と、将来の不安から、「積極的なガン腫瘍のモニタリング (監視)」を避けてしまう。]

 もちろん、既に進行してしまった前立腺ガンについては、「本腰を上げた治療(aggressive treatment)」が必要であることは言うまでもない。しかし、Hamdy 教授によると、小さなガン腫瘍に対して世界的に実施されている治療は、まさに「over-treated (過剰治療)」だ。

 この研究で、どれだけの人が「extremely reassuring (本当に安心)」できるようになったことか。
                 (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com