受精 (fertilisation) のメカニズムには、未だ不明な点が多い。しかし、一般には次のように説明される。
精子 (sperm) が卵 (egg) に近づくと、精子の遺伝情報を覆っていた糖タンパク質や糖脂質は、卵子によって引きはがされ、代わりにヒアルロニダーゼやアクロシンなどの酵素で身を包んで「衣替え (costume change)」をする。その姿で卵子に入った精子は,、雄性前核に形を変え、卵子の中の雌性前核と融合し、細胞分裂を繰り返して「胚盤胞(lastocyst)」に成長する。
なお、精子が「衣替え」すると、移動する機能を失い、「胚細胞 (embryo cells)」の性質をもつようになるが、どのようにして、「衣替え」しているのかは、不明だ。
しかし、イギリス Barth (バース)大学の Dr Tony Perry らの研究チームは、マウスを使った動物実験で、「疑似胚細胞 (pseudo-embryo)」に精子を注入し、健康な赤ちゃんを作ることに成功した。ただし、実験に使用した疑似胚細胞は、未受精卵 (unfertilised egg) を化学薬品 (chemicals) で処理して作り出したもの。
疑似胚細胞には、ごく普通の細胞(たとえば皮膚細胞)と、ほとんど変わらない性質がある。細胞分裂し、DNA をコントロールもする。
したがって、普通の体の細胞と精子があれば、理論上は、子どもがつくれることになる。なお、研究の詳細は、「Nature Communications」に発表された。
いつか、女性は懐妊 (baby-making process) から解放される日がくるかもしれない。そのとき、はじめて、女性と男性は、肉体的な苦痛の点で平等と言えるのでは。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)