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脳細胞に棲み着いた大気汚染ナノ粒子:数千万~数億の軍団! (BBC-Health, September 5, 2016)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/904/cpsprodpb/854B/production/_91032143_c0180637-human_head_mri_and_3d_ct_scans-spl.jpg

 これも、極めて衝撃的 (dreadfully shocking) な、医学の (健康にかかわる) 話。
   大気中に飛散している酸化鉄 (iron oxide) のナノ粒子が、交通量の激しい地区に暮らす住民の脳細胞の中から大量に見つかった。それも脳細胞 1g 当たり数百万の規模だ。

 これまで、同様のナノ粒子は、アルツハイマー病 (Alzheimer's) 患者の脳内に蓄積したプラーク (plaques) の中心部からも、大量に発見されているため、車 (vehicles) や発電所(power stations) から排出された、極めて微細な酸化鉄とりわけ「マグネタイト」[磁鉄鉱 (magnetite Fe3O4)] は、アルツハイマー病などの「神経変成疾患(neurodegenerative disease)」に深く関わっている可能性が高い。

 マグネタイトは自然界に豊富に存在し、人の脳にもごく微量ながら発見される。しかし、自然界起源の鉱物粒子の形状は「破片状 (jagged)」。これに対して、高温で人工的に作り出された粒子の形状は丸みを帯びた「球形 (spherical)」。しかも、その表面には、微結晶 (little crystallites) が確認され、プラチナ金属を伴うこともある。これは、明らかに、自動車の触媒コンバータ (catalytic converters) から排出された証拠だ。

"While large particles of pollution such as soot can be trapped inside the nose, smaller types can be enter the lungs and even smaller ones can cross into the bloodstream."

[ 大気中に飛散する汚染物質の内、煤 (すす) のように比較的大きな粉塵は鼻の中を通らないが、それよりも小さな粒子は肺の中に入り込み、さらに微小な粒子は血液中に取り込まれる。]

 研究者が注目するナノ粒子の大きさは、髪の毛 (50μ) の太さの 1 /250 (0.2μ)。

"But nanoscale particles of magnetite are believed to be small enough to pass from the nose into the olfactory bulb and then via the nervous system into the frontal cortex of the brain."

[ しかしながら、マグネタイトのナノ粒子は、極めて微小なため、鼻腔を通って嗅球に入り、さらに脳の神経系を通過して前頭葉にたどり着くものと考えられている。]

 脳の中に数億個のナノ粒子がお邪魔して、
 It can't be benign. (無害であるはずがない。)

 イギリスでは、毎年、大気汚染が原因で 5万人が死亡し、世界全体では 300万人がその命を短くしていると言われている。
 
 それでも、大気汚染とアルツハイマー病などの「神経変成疾患」との間には、未だ確たる「直接的な因果関係 (straightforward patterns)」が示されてはいないと、がんばる科学者もいそうだ。

 なお、この研究結果は、Lancaster大学の Barbara Maher 教授らがドナー (donaors) の脳細胞を分析して明らかにしたものであり、その成果は、「The Proceedings of the National Academy of Science, PNAS」に発表された。
                (写真は添付のBBC Newsから引用。)

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