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脳神経を傷つける全脳放射線治療:今さら、効果がなかったとは! (BBC-Health, September 5, 2016)

http://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/12765/production/_91012657_m1340866-secondary_brain_cancer_mri_scan-spl.jpg

 またも、衝撃的な事実が明るみにでた。
 イギリスの「Newcastle Hospitals NHS Foundation Trust」の Dr Paula Mulvenna らの研究チームが、500件以上の臨床試験データを分析した結果、患者に耐え難い苦痛を与える「全脳放射線治療 (whole brain radiotherapy)」が、実は、ほとんど役に立っていないことがわかったのだ。研究の詳細は、権威ある医学雑誌「The Lancet」に発表された。

 イギリスでは、毎年、少なくとも 45,000人が肺ガン (lung cancer) と診断され、世界全体では、今年、肺ガンと診断される患者は 1,800万人以上に達するものと推定されている。不幸なことに、肺ガン発症の1 /3 は脳に転移する。

 これまで、脳に転移したガン腫瘍 (tumours) の患者には、標準的な治療法 (standard treatment) として、ステロイド系抗炎症薬「dexamethasone (デキサメタゾン)」などを投与するとともに、ガンの増殖とガン治療の副作用を抑えるためと称し、全脳放射線治療が実施されて来た。

 しかし、医師の説明とは裏腹に、全脳放射線治療は、吐き気 (nausea)、極度の疲労感 (extreme tiredness)、神経毒性 (neurotoxicity) などの深刻な副作用をもたらす。とくに、神経系 (nervous system) を傷つけて、認知機能 (cognitive function) を損ねる恐れがある。 まさに、「technique's toxicity (医療技術がもたらす毒性)」の被害がひどいのだ。

 さらに、医師が下す「予後(prognosis)」、すなわち放射線治療後の経過予想もお粗末(poor) なレベル。患者は苦痛の人生 (survival times) を余儀なくされている。その状況は1980年代から何も変わっていない。

 これはまた、なんと言うことだ。『医師の勧めるままに、放射線治療を受けて、「自分の存在 (認知)」を失った。しかも、肝心の病気の回復には何の効果もなかった。』そんな事がずうっと続けられて来たとは。

 せめて、心ある医師には、決して途絶えることのない、医療に対する「反省」と「改善」、「誠意」を望みたい。「古い知識」と「経験」、「誇り」だけに頼ると、医療の犠牲者が増えるだけだ。
  ちなみに、全世界 1,800万人の肺ガン患者を診察する医師の内、どれだけの医師がこの「The Lancet」の記事を読んで、心を新たにしてくれるであろうか。

 「英語は忘れた」、「そんなもの読む暇がない」などと言わなければ良いが。


                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com