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ウイルスの襲撃は朝だ!:その巧妙な手口 (BBC-Health, August 16, 2016)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/CEDF/production/_90795925_c0023734-h1n1_flu_virus_particle_artwork-spl.jpg

 ウイルス (viruses) はどのようにして人の体内に侵入し、細胞内で増殖してしまうのか。その巧妙な手口が、Cambridge大学の Dr Rachel Edgar らの研究によって明らかにされた。

 人の遺伝子は約 22,000種。その約 10%の遺伝子の指令で、人の体は正常に機能している。中でも重要な役割を担うのは、Bmail 1 と呼ばれる「clock gene (時計遺伝子)」だ。これは、体内時計 (inertial body clock) のリズムをつくり出している遺伝子の 1つ。ただし、Bmail 1 は早起きが苦手。午後になってようやく、その活動を活発化させる。

 一方のウイルスは人の体に侵入するタイミング (right time) をねらっている。午後になっては、Bmail 1 の活動が激しく、襲撃は無理だ。そこでウイルスは、Bmail 1 がまだ寝ぼけまなこの朝の攻撃に全てを懸ける。すなわち、朝駆けで体内への侵入を図るのだ。
 また、「夜勤交代 (shift-work)」や「時差ぼけ (jet lag)」で体内時計が混乱しているときも、ウイルスに感染しやすい (susceptible) ことが分かった。

"viruses - unlike bacteria or parasites - are completely dependent on hijacking the machinery inside cells in order to replicate."

[ ウイルスは、バクテリア寄生虫と違って、細胞内でウイルス自体を複製して増殖するためには、(Bmail 1 の監視をすり抜けて) 細胞組織の機構をハイジャックすることが必須となる。]

 ウイルスは抜け目がない。Bmail 1 の活動が鈍る冬も、攻撃のチャンスとねらっている。真冬にインフルエンザ・ウイルスの (flu viruses) の感染症 (pandemics) が広がるのも、これで合点 (がてん) がいく。

 Dr Edgar らは、マウス (mice) に RNA 型の influenza virus と DNA 型の herpes virusを感染させる動物実験で、ウイルス感染の時間特性を確認した。なんと、午前中と午後では、ウイルス感染の確率が 10倍違う結果となったという。

http://ichef.bbci.co.uk/news/624/cpsprodpb/133A7/production/_90795787_c0024059-man_sneezing_on_pu.jpg

 
 この研究結果を適用すると、朝の通勤電車は、勤め帰りの電車に比べて10倍危険ということになる。くれぐれもご注意を。

 なお、研究内容の詳細は、米国科学アカデミー (The National Academy of Science of United States of America) の機関誌「PNAS」に掲載された。


                  (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com