佐渡の金山が日本で注目されるようになったのは、戦国、江戸時代。しかし、少なくとも鎌倉時代以前の古くから、その存在は知られていた。説話集「宇治拾遺物語」には、第54話として「佐渡の国から金(こがね)ある事」が、さらりと記述されている。
さて、佐渡から遠く離れたイギリス。地図上では、縦に細長い雲のような形をしている。その下端に、太い根のように、西に突き出た半島が「Cornwall Peninsula (コーンウォール半島)だ。この半島のほぼ中心から経線に沿って北に、Wales を通り、Scotlandまで線を引くと、不思議なことがわかる。イギリス全土の金の産出地が、その線上にほぼ並ぶのだ。
かって、古代ローマ帝国は、それらの重要な拠点を征服し、盛んに金を掘り出してはローマに送った。その後、時の権力者の手によって、幾度も金鉱山の再開発が繰り返され、古い金鉱山から金のほとんどは、掘り尽くされた。
しかし、ここに、金 (gold) が再び地上に現われることになる。
そこは、その昔、およそ 1900年も前に、ローマ軍がケルト系民族の執拗な反撃にあって、ついに北上の進軍をあきらめた北の大地「Scotland」。
Scotland の中央よりやや西に、小さな村「Tyndrum (タインドラム)」がある。話題の金は、その近くの荒野「Cononish」で発見された。
この度、「The Loch Lomond and the Trossachs National Park (ローモンド湖・トロッサックス国立公園)」管理当局から開発認可が下りたため、試験的に金鉱石 2,400トンが掘り出され、その「選鉱 (ore processing)」用のパイロット・プラント設備が稼働した。
開発を担当したのは、オーストラリア資本の鉱山会社「Scotgold Resources」。今後、半年間で、純金にして 400から 600 oz (約12~18 kg) の産出を目指す。
"The Cononish project was first launched nearly a decade ago but has faced delay as result of falls in the price of gold, lack of finance and problems with planning permission."
[ コノニッシュ開発プロジェクトは、ほぼ 10年前に着手されたが、金相場の下落、資金不足、それに開発認可のトラブルで、実際の操業が遅れていた。]
ようやく、今週になって、金相場は値上がりし、1 オンス当たり $1,350で取引きされるようになった。これで会社側は「Go」に踏み切ったのだ。
"The stockpiled ore is reckoned to contain 7.9 grammes of gold per tonne, and 39 gramms of silver."
[ 地下に埋蔵された金鉱石。そこには、金がトン当たり 7.9 g、銀が 39 g 含まれていると見積もられている。]
1 トンは 1 g を 10 の 6 乗倍した値。会社側は、この地「Cononish」に数トンの金が眠ると見る。
地下の鉱脈から全ての金を取り出すとすれば、途方もないほどの鉱石を掘り出すことになる。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)