スーパーに出かけて、こまごまとした食料品を買うと、レジ袋 (plastic bags) を付けてくれる。これは確かに便利だ。
しかし、問題はそのレジ袋の消費量。日本国内の年間消費量は 300億枚に上る。それだけのレジ袋を製造するために必要な石油の確保もさることながら、使い終えたレジ袋の処分も考慮に入れなければならない。
なかでも、ゴミ処分のルートから漏れ出て、山野、海、川に放り出されているレジ袋は、生態系に深刻な影響を与えるほど、環境を汚染している。海には毎年、約 800万トンのプラスチックが放出されている、とする報告もある。プラスチックは、やがて細かく砕けてマイクロプラスチックになり、これが生態系のサイクルすなわちプランクトン、魚類、鳥類、小動物の体内に取り込まれ、化学物質は数十万倍、数百万倍のオーダーで濃縮されていく。
ある国のことだ。洪水で川が氾濫すると、川に捨てられたレジ袋やプラスチックゴミが舞い上がり、水が引いた後には、街路樹などにレジ袋やプラスチック類が多数ぶら下がる光景も珍しくないという。
さて、England では、昨年の 10月、フルタイム従業員 250人以上の大規模小売り業者(retailers) に対して、レジ袋の有料化を義務づけた。1 枚につき 5p (約7円)だ。すると、この半年間で、レジ袋の消費は急激に落ち込み、この状態が続くと、今年度は 83%の減になると予想されている。ちなみに、2014年統計のレジ袋消費量は、日本の約1/4に当たる 76.4億枚であった。
レジ袋の有料化は、すでに Walesで 2011年、Northern Ireland で 2013年、Scotlandでは 2014年に実施され、それぞれ初年度に 76%、71%、80% の消費削減に成功している。
現在のところ、Englandでは、小規模小売り業者には、「経営上の負担 (administrative burden)」を軽減するという理由で、例外的に「課税 (levy)」を「免除 (exemption)」している。しかし、「イギリス海洋保護協会 (The UK's Marine Conservation Society)」からは、Scotland や Wales と同様に、例外を認めるべきではないとする声が上がっている。
なお、環境団体「Friend of the Earth」の Mr Andrew Pendleton によると、レジ袋は環境問題の一部に過ぎず、リサイクル不可能で、埋め立て処分されている数百万トンのコーヒーカップ類や、オンライン・ショッピングの配送でお馴染みの、大きすぎるパッケージ・ボックス、それにその過剰なパッケージにも目を向けるべきだという。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)