これはまた、なんという華麗で、迫力のある車だろう。キリリと結んだ口もとに、パッチリと開いた大きな目。流れるようなフォルムは、まるで夜の舞踏会に駆けつけた貴婦人のイーブニング・ドレス。それに、カンヌ映画祭に登場する女優の姿にも似て、艶 (あで）やかだ。
オープン・カーだが、折り畳みのやねが付く。その名車の名は「Daimler DB18 Drophead Coupe」。1939年に製造された。
West Midlands (ウェスト・ミッドランズ州) の Coventry (コヴェントリィ) にあったDaimler 社の自動車工場で、1939年に DB18 model の生産が開始された。しかし、その後、第 2 次大戦が勃発。結局、世に送り出された名車はわずか 8 台であった。その内の5 台は、ドイツ軍の攻撃にあって破壊され、3 台が残ったものの、現在、実際に走れる状態にあるのは、車台ナンバー「Chassis 49531」の 1 台だけだ。
この車は 1940 年から 1959 年の 10 年間、特別な機会 (special occasions) にのみ利用され、当時のイギリスの首相 Sir Winston Churchill (チャーチル)には、2 回貸し出されている。
チャーチルは、この車に拡声器 (loudspeaker system) を据えてイギリス中を回り、政治キャンペーンを叫んだ。
近年になって、ドイツの「Eberhard Thiesen」社が £100,000 (約1,400万円)以上を費やして修復し、7 月 2 日 (土) オークションにかけることにした。場所は、チャーチルの生まれた故郷の「Blenheim Palace (ブレナム宮殿)。予想落札価格は £250,000 (約3,400万円) とか。
（写真は添付のBBC Newsから引用。）
