怖いのは爪(つめ)の中!:数十万のバクテリア(細菌) (BBC-Future, June 23, 2016)
美容と保護を兼ねて、指先の爪 (fingernails) に「マニキュア (nail polish)」を塗ったり、「つけ爪 (artificial nails)」でお洒落をすることは、今は、それほど珍しいことではない。
むしろ、「爪を噛む (biting nails)」人を見かけなくなった。
爪はケラチン (keratin) でできている。サ イ(rhino) やインパラ (impala) の角(つの)と同じ素材だ。きれいに手入れされた爪は健康的で、そこには、人柄の良さまで現われる。
さて、食事の前には石けんでよく手を洗うようにと、薦められるが、それで、本当に手に付いた細菌 (bacteria) が、全て洗い流されるのだろうか。
Pennsylvania 大学の研究者が 1988、1989年に興味深い調査結果を発表している。医学部に勤務するボランティアに協力を依頼し、「爪の中 (subungual region)」の衛生状態を調べた。
すると、そこは細菌の「隠れ場所 (harbour)」になっていた。なんと、指の爪 1 ヶ所で数十万の細菌が棲み着いていたのだ。これに対して、爪を除く手の全体で検出された細菌は数百から数千。
つまり、爪の中は適度の湿り気があり、爪によって保護されているため、微細な生命体(minute lifeforms) には、完璧な生息・増殖環境なのだ。ここには「抗菌剤(antimicrobial agents)」も届き難い。したがって、手・指を完全に消毒すること(sterilisation) は不可能だ。ましてや、
"No amount of scrubbing can ever rid the hand of all its bacteria."
[ どんなに、ゴシゴシ手を洗っても、無菌にはできない。]
だから、医師や看護士は、患者と直接接触する際には、手袋をはめることが多いという。
さらに、つけ爪やマニキュアでお化粧した爪は、何もしていない爪 (natural nails) に比べて細菌が多くなる傾向が見られたという。なお、その後に実施された研究でも、ほぼ同様の結論が得られている。
最後に、できるだけ、手から細菌を洗い流す「こつ」とは、
・手を洗うときには、爪の中を特に念入りに。
・爪は短く、清潔にしておく。
(写真は添付のBBC Newsから引用。)