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暴れもの(前立腺ガン):そのバリアを引き剥がせ! (BBC-Health, May 2, 2016)

http://ichef.bbci.co.uk/news/976/cpsprodpb/819C/production/_89508133_c0225111-dividing_prostate_cancer_cells,_sem-spl.jpg

[ イギリスの男性にとって、前立腺ガンは最も罹患率の高いガンだ。一生の間に、8人に1 人が発症し、主に 50 歳以上の男性が襲われる。]

"Prostate cancer is the most common cancer in men in the UK."
"About one in eight men will get prostate cancer at some point in their lives. It mainly affects men over the age of 50."

 前立腺ガンは、主として精巣で作られる「アンドロゲン (Androgen)」(男性ホルモン)によって増殖する。
 アンドロゲンが前立腺のガン細胞内で「dihydrostosteron (ジヒドロストステロン)」に変わり、ガン細胞の「アンドロゲン受容体 (androgen receptors)」と結合すると、細胞の核に侵入できるようになり、それが正常な遺伝子に直接働きかけてガン細胞の増殖を進めていると考えられる。

 このため、前立腺ガンに対する「ホルモン療法 (hormone treatments)」では、ガン細胞内のアンドロゲン受容体を標的にし、アンドロゲンとの結合を妨げて、その分泌を抑える方法が取られて来た。

 ところが、前立腺ガンにも、一筋縄ではいかない「暴れもの (aggressive cancer)」がいて、抗ガン剤に抵抗し、自らのアンドロゲン受容体の型式を変えてしまう。つまり、薬に対してバリアを張り、ガン細胞内のシグナル伝達を切ってしまう強者 (つわもの) がいる。これでは、どんな名医でも、手も足も出なくなる。

 このような暴れもの退治に、イギリス「The Institute of Cancer Research (ガン研究所)」の Paul Workman 教授らが薦めるのは、「Hsp90 inhibitors (阻害剤)」だ。その効果をマウスで確認し、医学雑誌「Cancer Research」に発表した。

 「Hsp90 阻害剤」は、ガン細胞のバリアを引きはがし、たとえ、ガン細胞がシグナル伝達経路をハイジャック (hijacked) していても、ネットワークを使って、別のシグナル伝達経路を切り開いてくれることが分かった。

 今後の臨床試験 (clinical trials) の結果が、待ち遠しい。
 
                                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com