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血小板は培養で!:大量生産の時代がやって来た (BBC-Health, April 8, 2016)

http://ichef.bbci.co.uk/news/1536/cpsprodpb/14B44/production/_89140848_c0283800-blood_platelets,_sem-spl.jpg

 誰の体にも流れている血液のはなし。時代は「献血」から「培養」に変わろうとしている。
 体重の約 8 %は血液。その 55 %は血漿 (plasma) で、残る 45 %は、酸素を運ぶ赤血球 (red blood cells)、免疫力を発揮する白血球 (leucocytes)、そして出血を止める血小板 (platelets) の 3 種で構成される細胞成分だ。いずれの細胞も骨髄 (bone marrow)にある造血幹細胞 (hematopoietic stem cells) からつくられる。

 血小板は、造血幹細胞が巨大な「巨核球 (megakaryocytes)」に分化し、それが細かくちぎれたもの。
 それは、外傷、外科手術、白血病血友病などの特殊な血液疾患の治療に欠かせない。とくに、自動車事故や紛争に巻き込まれた人の大量出血を止める手立ては、今のところ、血小板に頼るしかないのだ。

 これまでは、献血で採取された血液を、赤血球、白血球、血小板に分離して保管し、必要に応じて使用されて来た。

 イギリスの「NHS (国立保健サービス)」と Cambridge大学の共同研究チームは、実験室で「巨核球」の生成に必要な「化学スイッチ (a set of chemical switches)」を発見した。この巨核球は「血小板母細胞 (platelet mother cells)」だ。人間にたとえると、血小板という子どもを生み出す「お母さん」の培養に成功したことになる。

 次の段階は、そこから効率よく血小板をつくること。今回の研究では、1 個の巨核球から約 10 個の血小板が形成された。しかし、人の骨随では、最大その 200 倍の血小板が形成されている。実験室で、そのレベルまで効率を上げるためには、培養環境を骨随と同様の状態に維持することが望まれる。

 実験室で血小板が大量に生産できるようになれば、もはや献血に全面的に頼ることもなくなり、凝固特性に優れた血小板の開発も可能であり、特異な血小板の型を有する患者の治療にも対応できるようになると、多いに期待されている。

                            (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com