海外で暮らすと、道ばたの雑草も、夕日の空の色も違うことに驚く。朝、目が覚めて、庭の木立に目をやると、そこには見慣れない小鳥がさえずっている。
数千km も移動する雁や白鳥などの渡り鳥たちも、同じように、異国の自然の変化を感じながら、空を飛んでいるのだろうか。
さて、近頃は、スズメもめっきり少なくなった。ウグイスもヒバリもそのとおり。
ごく身近で、普通に観察される小鳥たち。その小さな生き物は、田園地帯で害虫を食べたり、木々の種を運んだりと、自然のエコシステムの維持に多いに貢献している。
Durham 大学の Dr Stephen Willis らの研究チームは、ヨーロッパ大陸と北米大陸に生息する野鳥の「個体群 (bird populations)」が「気候変動 (climate change)」によってどのように変化しているのかを調べた。
研究の基礎となる「野鳥の観察 (bird watching)」は、数千人のボランティアが参加し、1980 ~ 2010年の 30 年間にわたってフィールドデータが採取されたという。
その結果、ヨーロッパでは、冬期の気候が温暖になるにつれて、「ミソサザイ(wren)」のような小鳥は、その「生息地 (habitat)」を北に徐々に移し、このためヨーロッパ北部では、個体群が増えたが、逆に南部ではその数を減らしていることがわかった。
同様な現象は、北米大陸でも認められ、「コマツグミ (American robin)」が北米大陸の南部から北部へと、その生息地を移動させていた。
"The similarities in results between the two continents, despite very big differences in their landscapes, geographic barriers and patterns of vegetation, are compelling evidence for the climate changes."
[ 地形も、地理的障害、植生パターンも全く異なるヨーロッパ大陸と北米大陸で、野鳥の生息地が同じように北に移動していることは、小鳥たちがまぎれもなく気候変動の影響を受けている証拠だ。]
なお、野鳥観察のフィールドデータに基づいて、Durham 大学は「population-predicting models (個体群予測モデル)」を開発し、地球温暖化によって、将来、野鳥の生息地図がどのように遷移するのかを明らかにしたという。
この「citizen science (市民科学)」の成果を結集した一連の研究は、「Science」最新号に発表された。
(写真は添付のBBC Newsから引用)