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北へ逃げろ!:野鳥も避難する気候変動 (BBC-Science & Environment, March 31, 2016)

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 海外で暮らすと、道ばたの雑草も、夕日の空の色も違うことに驚く。朝、目が覚めて、庭の木立に目をやると、そこには見慣れない小鳥がさえずっている。
 数千km も移動する雁や白鳥などの渡り鳥たちも、同じように、異国の自然の変化を感じながら、空を飛んでいるのだろうか。

 さて、近頃は、スズメもめっきり少なくなった。ウグイスもヒバリもそのとおり。
  ごく身近で、普通に観察される小鳥たち。その小さな生き物は、田園地帯で害虫を食べたり、木々の種を運んだりと、自然のエコシステムの維持に多いに貢献している。

 Durham 大学の Dr Stephen Willis らの研究チームは、ヨーロッパ大陸北米大陸に生息する野鳥の「個体群 (bird populations)」が「気候変動 (climate change)」によってどのように変化しているのかを調べた。
 研究の基礎となる「野鳥の観察 (bird watching)」は、数千人のボランティアが参加し、1980 ~ 2010年の 30 年間にわたってフィールドデータが採取されたという。

 その結果、ヨーロッパでは、冬期の気候が温暖になるにつれて、「ミソサザイ(wren)」のような小鳥は、その「生息地 (habitat)」を北に徐々に移し、このためヨーロッパ北部では、個体群が増えたが、逆に南部ではその数を減らしていることがわかった。

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 同様な現象は、北米大陸でも認められ、「コマツグミ (American robin)」が北米大陸の南部から北部へと、その生息地を移動させていた。

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"The similarities in results between the two continents, despite very big differences in their landscapes, geographic barriers and patterns of vegetation, are compelling evidence for the climate changes."
[ 地形も、地理的障害、植生パターンも全く異なるヨーロッパ大陸北米大陸で、野鳥の生息地が同じように北に移動していることは、小鳥たちがまぎれもなく気候変動の影響を受けている証拠だ。]

 なお、野鳥観察のフィールドデータに基づいて、Durham 大学は「population-predicting models (個体群予測モデル)」を開発し、地球温暖化によって、将来、野鳥の生息地図がどのように遷移するのかを明らかにしたという。

 この「citizen science (市民科学)」の成果を結集した一連の研究は、「Science」最新号に発表された。
                               (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com