「The Intergovernmental Panel on Climate Change, IPCC (気候変動に関する政府間パネル)」は、地球温暖化について学術的に検討する国際的な機関だ。その IPCC が 2013年に発表した報告書によると、地球温暖化の影響で、84 年後の「2100 年には、海水面が98cm上昇する」。
しかし、その計算では、南極大陸 (Antarctic) の氷解が過小評価されていた。
そもそも、氷床 (ice sheet)、棚氷 (ice shield) が溶け出す現象を正しく理解しておらず、その現象の「物理的なプロセス (physical processes)」が十分に反映されていなかったのだ。
これまで、棚氷は、海水の温度が上昇すると、その下から溶け出すと考えられ、IPCC の科学者はこの考え方に基づいて計算し、先の報告書の結論に至った。
ところが、温暖化が進んだ昨今では、棚氷の表面からも氷が溶け、これが厚い氷の割れ目の中に入り込んで、棚氷全体の崩壊を早めていることがわかった。
Penn State 大学の Dr David Pollard らは、この事実を考慮して、今後数十年から数百年間にわたって予想される海水面の上昇率を再度計算した。
その結果、2100 年には、IPCC の発表した「海水面の高さ 98 cm」に比べて 25%も高い 131 cm になり、さらに、2500 年には、海水面の高さが現在よりも 13 m も上昇することが明らかとなった。
"If the world continues to emit 'business as usual' levels of carbon dioxide over the coming decades, the scientist argue that sea-level rise will double what has already been estimated for the coming 100 years."
[ 科学者らの主張によると、今後数十年間、世界が「相も変わらず」CO2 を排出し続けるならば、100 年後には、海水面はこれまで考えられていた高さの 2 倍になるはず。]
ただし、救いは1つだけある。
"Seas will continue to rise, but not at the runaway rates."
[ 海水面は今後も上昇し続けだろうが、急激な暴走とはならないだろう。]
人は、どうしても自分に都合の良いように物事を考えてしまうものだ。それでも 100年後、200 年後のことは、どうでもいいと、決して思ってはいけない。
(写真は添付のBBC Newsから引用)