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「ブリトン(Briton)、お前もか?」:排ガスNO2規制違反 (BBC-News, March 1, 2016)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/A3CB/production/_88513914_no2_graphic_correct_cawley.jpg

 「Et tu, Brute ?」。これは、Shakespeareの作品「Julius Caesar」で、ジュリアス・シーザーが刃(やいば)に倒れるとき、叫んだラテン語 (Latin)。「ブルータス、お前もか?」。

 先ごろ、ドイツの「フォルクス・ワーゲン (VW)」社に続いて、「メルセデス・ ベンツ (Mercedes-Benz)」社も、ディーゼル車の排ガス規制を逃れるため、窒素酸化物NOx の排出量をごまかしていたことが明るみになった。

 ところが、イギリス東部の、250 にのぼる自治体でも、排ガス規制が不法に見逃されていた。まさに、「Et tu, Britons?」。

 「窒素酸化物 (nitrogen oxides)」NOx とは、その化学式中のxが1-5まで変化する化学物質 NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5 などを含めた総称だ。大気汚染物質として問題になるのは、主として一酸化窒素 NO と二酸化窒素 NO2 の 2 種。
 ディーゼル車やボイラーの排気ガスに含まれるのは、ほとんどNO。しかし、NO は太陽光を浴びると酸化されて NO2 となる。

"There is evidence high levels of NO2 can inflame the lungs and cause long term health issues."
[ 濃度の高い NO2 を吸い込むと、肺に炎症を起こし、長期にわたる呼吸器系疾患の原因となることが立証されている。]

  イギリスの法律で定める NO2 の環境基準は 40 µg/m3 (0.012 ppm) 以下。ちなみに、日本の環境庁の基準は「0.04-0.06 ppm以下」と、イギリスの基準値の 4, 5 倍も高く設定され、その規制はかなり緩いことがわかる。

 さて、「BBC East」の調査によると、首都ロンドンの「Grosvenor Place」通りで2014年に NO2 を計測し、その年平均値を求めると、環境基準を 380%も上回る 152 µg/m3であった。さらに、Leeds、Birmingham、Southampton、Nottingham、Derbyなどの都市でも高い数値を記録した。

 環境問題に詳しい法律家で構成される団体「ClientEarth」は、この問題で 5 年間もイギリス政府と戦っている。今後は「High Court action(最高裁訴訟)」を起こす構えだ。

 「ClientEarth」のメンバーの1人Mr Alan Andrewsは次のように述べる。

"Air pollution is one of the biggest public health issues we face as a society."
[ 大気汚染は、私たちの社会が直面している、最も重要な公衆衛生上の課題の1つだ。]

 さて、日本では、このところ、「道理」も「正義」も、ほとんど絶滅状態だが、イギリスでは、「ClientEarth」が旗標(はたじるし)として掲げる「Justice (正義)」が、まだ通用するであろうか。
                                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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