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危険なメタンガスが大噴出:知事は非常事態宣言、住民避難 (BBC-Science & Environment, February 26, 2016)

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 地球上の大気の組成 (atmospheric chemical compounds) の 99.0% は、窒素 (78.1%)と酸素 (20.9%) が占める。次に多い成分はアルゴン Ar (0.93%)。そして、あの、地球温暖化の元凶とされる二酸化炭素 CO2 の割合は、0.037% と以外に少ない。

 大気組成は、もちろん、人間社会の活動と密接に関連し、地球上の場所によって、また時代によって変化するもの。CO2については、産業革命以降、急激に化石燃料が消費されたため、この約 150 年間で 20-30% も増加したと言われる。

 さて、現在、日本を含めた西側先進国が、地球温暖化対策の「頼みの綱 (last resort)」として注目しているのが、天然ガス (natural gas)。その主成分はメタン (methane) CH4だ。確かに、単位熱量当たりの CO2 排出量は、石油に比べて14% も少ない。

 しかし、このメタンガスが、誤って大気中に放出されると、その後 100 年間にわたって、CO2 の 25 倍の地球温暖化を引き起こすこともわかっている。
 メタンガス自体は無色、無臭で無毒。けれども、かって、日本の炭坑において、坑内に湧出するメタンガスが爆発し、多くの人命が失われたように、引火性の高い危険な気体だ。

 今度は、そのメタンガスが、地下から大噴出した。
 事件が起きたのは、米国「California (カリフォルニア州)」Los Angeles の郊外に位置する小さな町「Porter Ranch (ポーター・ランチ)」。最初に、しかも、偶然にメタンガスの湧出が検出されたのは、昨年10 月 23 日のこと。

 この町の地下一帯には、米国でも5番目の規模を誇るメタンガス層が存在し、「South California Gas Company (SoCalGas)」によって、115 本のガス井から天然ガスが産出されていた。
 ところが、その1本のガス井が故障し、地下に包蔵されているメタンガスが、空中に「噴煙 (plumes)」を立ち上らせて、まさに「噴出(blowout)」したのだ。それから約 4ヶ月間、2016 年 2 月18日に問題の「ガス井SS25」が、完全に、そして永久(permanently)に閉鎖されるまで、

"The blowout pushed enough of the gas into the air everyday to fill a balloon the size of a football stadium."
[ 毎日、メタンガスが噴出し、その量は、フットボール・スタジアムにスッポリ入る巨大なバルーンが、すぐに一杯になるほどであった。」

 大気に放出されたメタンガスの総量は、推定100,000 tonnes。カリフォルニア州の知事 Mr Jerry Brown は、「非常事態を宣言し (declared a state of emergency)」、Porter Ranchの 11,000 以上の住民は避難を余儀なくされた。

 なお、調査に向かった飛行機が、ガス井上空のメタン濃度を測定すると、その濃度が余りにも高いので、調査官は計測器が故障しているのかと思ったという。

 この事故で驚くのは、これまで、メタンガスの湧出に備えた「組織的な監視 (co-ordiante oversight)」が、ほとんど取られていなかったことだ。大気中にメタンガスが噴出する事故は、今回の事故ほど規模が大きくはないが、すでに 2004 年 Texas で起きている。

 二度あることは三度、四度、・・・ と続く、と考えるのが自然だ。
 「天然ガス (LNG) はクリーンエネルギー」などと、ともてはやされてはいるが、人類にとって、地球にとって、危険な気体であることを、決して忘れてはいけない。

                                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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