「なりふり構わず」とは、切羽詰まった人間の、体裁を捨てた半狂乱の状態を言う。 子どもの学校に、その親御さんが出向くとき、「なりふり構わぬ」パジャマ姿とは、聞いたことがない。ところが、イギリスでは、どうやら事情が違うらしい。
イギリスは議会制民主主義の発祥の国。子どもの教育に熱心でLadies & Gentlemen の国だ。さぞかし、マナーが良いのではと憶測していたが、今回は、その期待を裏切る、少し残念な話題となった。
イングランド北東部の町「Darlington (ダーリントン)」に、小学校「Skerne Park Academy」がある。Ms Kate Chisholm はそこの校長先生 (head teacher) だ。その先生の堪忍袋がついに切れた。そして、こんな内容の手紙を父兄に書いて送った。
『学校には、「wash and get dressed (顔を洗って、きちんと着替えて)」お越し下さい。パジャマ姿にスリパーはご遠慮願います。皆さんのご協力に感謝します。』
そもそも、church (教会) や school (学校) は、「身を清め、身を正す」修行の場であり、俗っぽい、手垢で汚れた場所とは一線を画す「Sanctuary(聖域)」のはずであった。
ところが、親御さんのマナーは、目に余るものになったという。早朝、子どもを学校に送り届けるときの姿もパジャマにスリッパなら、学校行事のクリスマス公演、夜間に開催される父兄の「打ち合わせや集会 (meetings and assemblies)」にもパジャマ姿で現われる人が続出するとあっては、校長先生も、「enough's enough(もう、たくさん)」、「the final straw came (ここいらが潮時)」と思ったそうだ。
"If I get the parents on board then we often get children too and in order to the best chances for the children we have to rase the bar with the parents."
[ 親御さんが良いマナーのお手本を示せるようになれば、子どものマナーは独りでに良くなるもの。だから、子どもの教育のためには良い機会なの。親御さんと一緒になって社会的なマナーの向上に努めなければならないのよ。]
さて、純粋な心の子どもなら、いざ知らず、拗(す)ねた大人が学校の先生の「お小言」を素直に聞いてくれるだろうか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)