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蝶々(バタフライ)が消えて行く:イギリスの田園風景 (BBC-Science & Environment, December 15, 2015)

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 澄み切ったコバルトブルーの秋空に、数え切れないほどの赤トンボが飛び交う風景は、かって、夏の終わりを告げる日本の風物であった。その赤トンボの数も、近年はめっきり少なくなり、秋の空は、見上げても寂しいものになった。
 トンボに限らず、ツバメ、スズメ、トンビなどの野鳥の姿も少なくなった。自然環境が確実に変化した証しだ。地球に生きる多くの生物が住みにくくなり、その多様性が損なわれつつある。

 その状況は、イギリスも同じだ。最近発表された、チャリティ団体「バタフライ保護協会 (The Butterfly Conservation)」の報告書「State of the UK's Butterflies 2015」によると、イギリスの蝶の 76% は、この 40 年間で減少の一途をたどっている。
 「ゲートキーパー(Gatekeeper)」、「ウォール(Wall)」などの蝶は、ブリテン島南部の農村地帯では、ごく普通に見られたが、他の種の蝶とともに、その生息数は減少し続けている。

 イギリスで蝶が少なくなった理由として、「農業強化 (agricultural intensification)」政策や「森林管理 (woodland management)」の変更によるものと、一般には信じられている。しかし、「気候変動 (climate change)」と「殺虫剤 (pesticides)」の要因は、これまで考えられていた以上に、蝶の生息環境 (habitats) に対して深刻なダメージを与えている可能性がある。
                                    
 とくに、農業用として多量に消費されている「ネオニコチノイド系殺虫剤(neonicotinoid pesticides)」と「蝶の生息数の減少」との間には強い相関性がある、との結論に達した研究発表も報告されている。

 ただし、蝶の生息地「草原 (grasslands)」を「景観規模 (landscope-scale)」で保護する活動によって、絶滅危惧種「デューク・オブ・バーガンディ (Duke of Burgundy)」やイギリスで最も絶滅が危惧されている「ウラギンヒョウモン (High Brown Fritillary)」などのように、その個体数が回復している種もあるという。

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 蝶は、人間の活動に左右され、あるいはその情けにすがり、フラフラ舞い飛ぶ昆虫かと思うと、何か、やるせない感情がこみ上げてくる。

                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com