Wales (ウェールズ)は、イングランド島の西側の山あい一帯を占める。首都は「Cardiff (カーディフ)」。そして Wales の北西部に Gwynedd (グウィネズ州)が広がる。
地図上で、州の形をなぞると、魔女の顔のシルエットが浮かび上がる。その魔女のあごの辺りは、カーディガン湾 (Cardigan Bay) に面した美しい海岸だ。そこにリゾート・タウン「Tywyn (タウイン)」がある。
この、人口約 3千人の小さな町で、Cardiff 大学の Les Baillie 教授らの研究チームが、30年に一度あるかないかと思われる大発見をした。なんと、Tywyn に住むアマチュアの養蜂家 Chris Hickman 氏のミツバチの巣箱から採れたハチミツには、あの「マヌカハニー (Manuka honey)」に匹敵にする強力な「抗菌生物特性(antimicrobial properties)」があることを突き止めたのだ。
この発見に至るまでには、ウェールズ中のミツバチを探し回り、250 箱のミツバチの「巣 (hives)」を検査したという。
マヌカハニーの「マヌカ (Manuka)」とは、ニュージーランドの原住民マオリ族が古くから薬として使っていた木の名前だ。その木の花蜜から集められたハチミツにも、強い抗菌作用があることはよく知られている。
したがって、Tywyn のミツバチは、どの植物の花から蜜を集めているかが重要だ。もしかして、薬草の一種「woodruff ( クルマバソウ)」からか。研究チームは、その特定を急いでいる。
"Honey has been used for thousands of years to treat sore throats, wounds and infections, due to its bacteria-killing compounds."
"But the antimicrobial activity of any particular honey depends on the properties of the plants visited by the bees which made it."
[ ハチミツには、殺菌成分が含まれているため、人々は、これを数千年にわたって、咽頭炎、傷、感染症の治療に使用してきた。しかし、ハチの集める花蜜の植物自体が、どのような特性をもっているかによって、その抗菌作用は違ってくる。]
Tywyn のミツバチが向かっている花を見つけ出し、その植物をショッピングセンターの屋上や都市周辺に植え込んで、ミツバチを飼う。そんな「都市型養蜂計画(urban honey-making scheme)」を立ち上げているという。
抗生物質の効かない「MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)」(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus) などの「超強力菌 (superbugs)」は、現在、人類が遭遇している恐ろしい敵だ。
Cardiff 大学の次の研究目標は、Tywyn のハチミツに含まれる抗菌成分を抽出し(extract)、これを研究室で合成する (synthesize) こと。これによって、「植物由来(plant-based sources)」の特効薬を開発し、「抗生物質耐性感染症 (antibiotic-resistant infections)」の治療に役立てるのがねらいだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)