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地球の地下水:地面の下にはどれだけの水があるの? (BBC-Science & Environment, November 17, 2015)

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    真夏の暑い盛りに、飲む1杯の井戸水は、本当に美味しい。その地下水は、もちろん、地下に隠れて見えない。では一体、地球にどれだけの地下水があるのだろうか。

 カナダ Victoria大学の Dr Tom Gleesonらの研究チームが、地表から 2km 以内の地殻に包蔵される地下水の量を算定した。
 帯水層 (aquifer) を構成する岩石・土壌の「浸透率 (permeability)」、「孔隙率(porosity)」、「降水量 (precipitation)」などのデータから「地下水面の動水勾配 (water table gradients)」を計算し、さらに、地下水の年代は、「トリチウム (tritium)・トレーサ法」によって定めた。

 トリチウムは、約50年前の一連の水爆実験によって、大気中に大量に放出された「放射性水素同位体 (a radioactive form of hydrogen)」だ。その半減期は12.32年。放射崩壊によって、時間の経過とともに、トリチウム濃度は減少するため、地下水の年代測定の「トレーサ (tracer)」として使用されることが多い。

 さて、膨大なデータを解析した結果、地球の地下水量は23×(10の6乗)km3と算出された。海水の体積1350×(10の6乗) km3に比べると、0.6%の値になる。
 ただし、この全てが利用できるわけではない。地下から実質的に汲み出し可能な地下水は、たったの6%だ。これが、「現代の地下水 (modern groundwater)」と呼ばれるゆえんの地下水。地表に近い帯水層に存在し、川や湖沼などの水資源に、水を供給する役目も担っている。

 この地下浅部の水循環のタイムスケールは、人間の寿命とほぼ同程度。すなわち、100年足らずで、帯水層の水は入れ替わる。しかし、気候変動や環境汚染の影響を受けやすいため、十分に注意して管理すべき資源だ。

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 Dr Gleesonらは、「現代の地下水」資源の分布図を作成した。
 図中の紺青色は、水循環サイクルの短い帯水層を示し、淡青色は、地下水の年代が古く、ほとんど水循環のない帯水層を表わしている。

"Some places it is quite deep, in some places not. In many places, it can be poor quality."
"It can be more saline even than ocean water and it can have lots of dissolved metals and other chemicals that would need to be treated before it could be used for drinking or agriculture."

[ 場所によって、地表からの帯水層の深さは異なるが、その多くの地下水が汚染されていた。地下水が海水よりも塩類を多く含み、多量の金属イオンや化学物質を溶存するようになると、これを飲用水または農業用水として使用する際には、水処理が必要になってくる。]

 世界のある特定の地域では、今、地下水が急激に消失し、かつ、汚染が進んでいる。
  本来、地下水は、環境汚染や環境変化に極めて敏感 (sensitive)であること、そして次世代に残すべき「限りある貴重な資源 (finite resource)」遺産であることを、もう一度、考えて見る必要がある。
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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