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太陽なのか!:火星から大気と水を奪ったのは (BBC-Science & Environment, November 6, 2015)

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 遙か昔、火星(Mars)には「温暖で湿潤 (warm and wet)」な気候の世界が広がっていた。それが、「冷たく乾燥した (cold and dry)」惑星に変わったのは、なぜか。

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 アメリカ航空宇宙局 (NASA)が、これまでの火星探査衛星等のデを解析し、その謎に対する答えを導き出した。

"The Sun emits a constant stream of charged particles called the solar wind. This wind carries magnetic fields and when these hit the planet they generate electric fields that are then able to accelerate atmospheric ions, hurling them either directlry off into space or slamming them into other atmospheric constituents so that they are removed. "

[ 太陽は、常に「太陽風」と呼ばれる「プラズマ(荷電粒子の流れ)」を放出している。このプラズマは、「磁場」を伴って火星に衝突すると、「電界」を発生させる。これによって、火星を取り巻く大気中のイオンは、その運動が加速され、宇宙に飛び散るか、大気中の物質に結合して、消滅する。]

 このときの、大気中のイオンの「消滅速度 (loss rate)」は、火星全体で毎秒約100gと、極めて小さい。しかし、その物理現象が45億年も続いた結果、火星の大気が失われ、大気圧は地球の1%以下になってしまった。この状況では、「遊離水 (free water)」は一瞬にして沸騰するか、凍結してしまうという。酸素も二酸化炭素も宇宙に飛び散ってしまったのだ。

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 さらに、憂慮すべき現象が観測された。今年3月、太陽からの「コロナガス噴出(coronal mass ejection)、CME」が火星を直撃したのだ。このCMEは太陽から突発的に放出されるプラズマの塊。その移動速度とエネルギーは、太陽風に比べてはるかに大きい。そのため、CMEの衝突によって失われる大気のイオン消滅速度は、少なくとも10~20倍に跳ね上がるはず、」と専門家は見る。

 太陽の活動が、現在よりも途方もないほどに活発であった太陽系誕生初期には、太陽風やCMEが、より頻繁に発生し、かつ強烈に火星を襲ったに違いない。

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 不幸にも、火星は、その誕生から数億年後に、「地磁気 (global magnet field)」を消失してしまった。つまり、地球の地磁気のような、太陽風やCMEから、身を守るための「楯」すなわち「磁場のシールド」を失った。
 それだけのことが、その後の火星の運命を決めることになったと言える。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

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