子どもが一歳未満で、ペット犬と触れ合って一緒に育つと、その後、7歳まで「ぜん息(asthma)」に罹りにくくなり、ペット犬がいない家庭の子どもと比べて、その罹患率は13%減少する。
そのような研究結果が、医学雑誌「JAMA Pediatrics」(アメリカ医学協会誌 [小児科学])に掲載された。スウェーデン Uppsala大学が、650,000人の子どもを対象にした研究調査を実施して導いた結果だ。
ただし、過去には、この結果に矛盾する研究論文も発表されているため、今後さらに研究が必要とのこと。
もちろん、イヌにアレルギー反応を示す子どもについては、別だ。今回の研究結果を適用することは避けた方がいい。
さて、次の文章の内容は、少々、混乱を招きかねない。
"Pets are a common cause of allergy, with half of all asthmatic children allergic to cats and 40 % allergic to dogs, according to the charity Allergy UK."
[ イギリスのチャリティ団体「Allergy UK」によると、ペットはアレルギーを引き起こす一般的な原因でもある。ぜん息の子どもは、ネコに対して50%、イヌんに対して40%がアレルギー反応を示すという。]
生まれながらにして、ペットの「フケ (dander)」に過敏に反応する子どもがいるので、注意が必要だ。
しかし、スウェーデンの研究結果は、子どもが「幼少時 (in infancy)」にイヌのフケ(dander)に触れると、むしろ、それが健康の維持に役立つことを示している。さらに、たくさんの動物や家畜に囲まれた農場のような環境では、子どものぜん息の罹患率は50%に減少するという。いわゆる「農場効果 (farming effect)」だ。子どもは田舎の方が元気に育つとは、昔から言われたこと。
この研究を中心になって進めたTove Fall教授は次のように指摘する。
"This fits with the hygiene hypothesis which favours exposure to dust and dirt to improve our tolerance of common allergens."
[ 研究結果は、「一般のアレルゲンに対する人間の耐性を強化するためには、埃や汚れに暴露された方が良い」とする衛生仮説に適合するものだ。]
わずかな細菌も汚れも許さない、余りにも潔癖な状況では、生命体は耐性を失い、薬や抗生物質に頼らざるを得なくなる、ということか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)