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クレオパトラ:本当にコブラに咬まれて死んだのか (BBC-Education & Family, October 21, 2015)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/872/cpsprodpb/15AC6/production/_86247788_003634201.jpg

 美しいものは、散りぎわが痛ましい。
 「ラビスラズリの秋空に、キラキラ輝き、散る木の葉。」

 フランス王ルイ16世の「王妃マリー・アントワネット (Marie Antoinette, 1755-1793)」はギロチン台でその生涯を閉じた。また、絶世の美女と謳われた「クレオパトラ (CleopatraⅦ, BC69-BC30)」もローマ帝国の権力闘争に翻弄され、39歳の若い、エジプトの「ファラオ (pharaoh)」にありながら、残酷で衝撃的な最期を遂げる。

"Cleopatra, who died at the age of 39 in 30BC, was a ruler of Egypt who became embroiled in power struggles within the Roman empire."

 クレオパトラがイチジク (figs) の籠(かご)の蓋を開けると、そこに忍ばせておいた「コブラ (cobra)」が這い出し、これに我が身を咬ませて死に絶える。さらに、お付きの2人の侍女 (maids)も、次々と咬まれる。その悲惨なシーンは、ハリウッド映画のクライマックスになった。
 
 このローマ時代から言い伝えられた「クレオパトラ最後の場面」の伝説に疑問を抱いたのは、2人の科学者。Manchester大学で「エジプト学 (Egyptology)」を研究するJoice Tyldesley氏とManchester 博物館の学芸員で「爬虫類生態学 (herpetology)」を専門とするAndrew Gray氏だ。

 まず、注目したのは、「ヘビ (asp)」の大きさ。このヘビの体長は、通常 5-6ft。ときに8ft (2.5m) になることもある。したがって、このヘビをイチジクの籠に忍ばせるのは無理。

"Even if such a snake had been smuggled in to Cleopatra, they say it would have been very unlikely that it could have killed Cleopatra and two of her servants in quick succession."
"Not only are cobras too big, but there's just a 10% chance you would die from a snake bite: most bites are dry bites that don't inject venom."

[ たとえ、ヘビを忍ばせたところで、クレオパトラを咬み、さらに立て続けに2人の召使いまで咬み殺すことなんて、ほとんどあり得ないことだ。]
[ コブラが余りにも大きすぎること自体が、この話の信憑性を欠くが、実は、コブラに噛まれて死亡する確率は、ほんの10%に過ぎない。ほとんどの場合、咬み傷は、毒の心配のない「カラ咬み (dry bites)」だ。]

"Snakes use venom to protect themselves and for hunting - so they conserve their venom and use it in times of need."

[ 毒ヘビは、身を守るためか、獲物を捕るためにだけ、その毒を使うものだ。だから、ヘビは毒を体内に溜めておき、必要なとき以外は、これを使わない。]

 もしかしたら、クレオパトラ7世を咬んだのは、「この世のコブラ」でなく、エジプトの聖なるコブラ「ウラエウス (Uraeus)」であったのかも知れない。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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