ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

アルツハイマー病発症リスク:遺伝子ApoE4とバーチャル迷路で診断 (BBC-Health, October 23, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/768/cpsprodpb/12EB/production/_85434840_m1080437-sectioned_brains_alzheimer_s_disease_vs_normal-spl.jpg

 「アルツハイマー病 (Alzheimer's disease, AD)」とは、1906年、ドイツのAloysius Alzheimer (1864-1915)によって初めて報告された病気。脳内の神経細胞が徐々に萎縮、変形する「神経変性疾患 (neurodegenerative disease)」だ。
 病気の原因はまだよく分かっていない。どうやら、遺伝子ApoE4が強く影響しているらしいが、それに加えて、加齢、生活スタイル、頭部損傷、うつ病などの要因が複雑に関与しているとも考えられている。

 アルツハイマー病(AD)の患者には、65歳以上の高齢者が多い。だから、若い世代の人は、この病気にあまり関心を持たないし、注意も払わない。
 
 ところが、ADは、20代の頃からすでに進行していることが明らかにされた。

 科学雑誌「Science」に、その詳細な研究内容を発表したのは、「ドイツ神経変性疾患センター (The German Centre for Neurodegenerative Diseases)」の Lukas Kurz氏らの研究グループ。

 年齢18~30歳の健康な学生75名に、「バーチャル迷路 (Virtual maze)」の脱出に取り組んでもらったところ、特異な行動パターンを示すグループが確認された。次にそのグループの遺伝子を解析した結果、全員がアルツハイマー病の危険因子とされる遺伝子ApoE4を保有していたという。

 さらに、fMRI (機能的磁気共鳴画像)計測によって脳の活動状況を調べた。すると、遺伝子ApoE4保有者の場合、人間の「空間ナビゲーション (spatial navigation) 」をコントロールする「格子細胞 (grid cells)」の機能が衰退していることが確認された。

 この測定結果は、なぜ、ADの患者が「空間識失調 (spatial disorientation)」の症状を示し、自宅周辺を歩き回るのさえ困難になるのかを説明してくれるという。

 若い人が遺伝子ApoE4を保有するだけで、数十年後にアルツハイマー病を発症するとは言い切れない。しかし、少なくとも発症リスクが高く、この病気に罹りやすい(more susceptible)ことは、事実のようだ。
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com