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憎い病気ガン(癌):人に多く、ゾウに少ないのはなぜ (BBC-Health, October 9, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/904/cpsprodpb/17E23/production/_85972879_c0264278-african_elephant_and_calf_drinking-spl.jpg

 ガン (cancer)で死亡するゾウの割合はたったの5%。これに対して、人類の4人に1人がガンで死亡している。なぜ、人類は、他の動物に比べて、こうもガンに罹りやすいのか。
 この疑問に答える研究が、Utah大学の研究チームによって進められ、その成果が「アメリカ医学協会誌 (The Journal of the Amerian Medical Association, JAMA)」に発表された。

 生命体の細胞 (cells) は、どれも突然変異の可能性を秘めている。したがって、細胞の数が多くなれば、必然的に突然変異の発生確率が増加し、ガンの発症リスクも高まる。しかし、ゾウの細胞は、人間よりも100倍もある。するとガンの罹患率も100倍になるのか?。

"Cancer is caused by mutations in a cell's DNA that produce faulty instructions leading to rampant growth as the spirals out of control."

[ 細胞のDNA内で突然変異が起こると、それが間違った指示を与えて、細胞はすさまじい勢いで増殖を始め、コントロール不能の状況に陥ってしまう。これがガンだ。]
 
 しかし、動物は、細胞内に「smoke alarms (煙探知機)」のようなガンの探知システムを持っている。その一つがTP53遺伝子。TP53 は、細胞の損傷を探知してこれを修復し、場合によっては死滅させる機能を持つ。

 人間には、一つの細胞内にたった一つのTP53遺伝子があるだけ。ところが、体の大きなゾウは、その細胞内に20個もTP53遺伝子を持っていることがわかった。このお陰で、細胞が突然変異を起こしても、瞬時にそれを破壊していると考えられる。

 生命体は、その進化の過程で、ガンに対する予防策を遺伝子レベルで講じていたようだ。「ハダカ デバ ネズミ (naked mole rat)」の、ガンに対する抵抗力の強さは、信じられないほどだという。

 人間のガンの発症リスクが高い原因は、まだある。
 その一つは、人類の歴史の上で、余りにも短期間で社会の発展 (social evolution)を遂げ、その社会にあって、不健康で、ガンの発症を招きやすい生活習慣 (cancer-causing behaviors)を広げてしまったことだ。専門家はこれを「ばかげた振る舞い (ridiculous and absurd things human do )」と呼ぶ。

 一般に、生命体の進化では、固体の生存率を高めるよりも、子孫を増やすことに重点が置かれる。生物学的な「生殖老化 (reproductive senescence)」が過ぎても、数十年も生き残れる人間のDNAは、本質的に、老化に備えたガンの予防策が不十分なのだ。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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