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永遠の若さと美しさ:年をとらない生物がいた (BBC-Magazine, October 9, 2015)

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/736/cpsprodpb/C2B3/production/_85934894_alicia_anemone-spl.jpg

 綺麗だけれど、「意地の悪い (wicked)」お妃(きさき)が、魔法の鏡の前に立って、問いかける。

 " Spieglein, Spieglein an der Wand, "      Looking-glass, Looking-glass on the wall,
 " Wer ist die Shönste in ganzen Land? "   Who in this land is the fairest of all?

  [ 鏡よ、鏡、壁にあれ。
 この地で一番のきれいびとは、だれ?]

 グリム童話の「白雪姫 (Sneewittchen)」で一番の印象的なシーンがこれ。
 その後、お妃は、恐ろしいことを猟師に命じる。自分よりも美しくなった白雪姫を森に連れ出して殺し、その証拠の品として、白雪姫の肺と肝を持ち帰るようにと。
 猟師は、白雪姫を哀れに思って、森に逃がしてやり、イノシシの肺と肝をお妃に届ける。お妃は、それを白雪姫のものと信じ、料理番に料理させて食べる。

 この話には、「若さと美しさの源泉」を摂取し、衰えた美貌を回復しようとする、人間の怪奇な性(さが)が隠されている。
                               
 ところで、この世で生きる人間は、「死を免れない (mortal)」。

"As the years roll by the human body slowly but surely shrinks, sags and droops as cells mutate and die. Hearing, mobility, mental agility, muscle and brain mass all decline."

[ 月日がたつにつれて、体の細胞は変異し、死滅する。すると、人間の体は、徐々に、しかし確実に縮小し、たるみ、垂れ下がる。聴力、運動能力、精神的敏捷性(行動力)、筋力、脳機能の全てが衰えるのだ。]

 これが、人間の「宿命(fate)」。「白雪姫」に登場した、魔法使いのようなお妃も、年には勝てなかった。

  しかし、この世で、年を取らない、したがって、「永遠不滅の動物 (immortal animals)」がいる。「イソギンチャク (sea anemones)」だ。100年も生きたとする観察記録がある。ただし、その生育では、生息環境に問題があった可能性がある。この動物は本質的に、年をとらず、体を常に再生し (replace)、増殖(proliferate)を続ける。もちろん、触手や体の一部を失っても、すぐに元どおりになる。

 さて、イソギンチャクの仲間は世界で1,000種も生息する。
大きさは数cmから1m以上に成長する種もあり、生命力は旺盛。海水温度の冷暖に関わらず、海であれば、ほぼ、どこにでも生息できる動物という。

 イギリスの海でよく見られるのは、「ウメボシ イソギンチャク (beadlet anemone)」。海の中では、体を岩に張り付け、触手 (tentacles) を広げてエサ(prey)を捕り、潮が引けて、海面に現われると、触手を体内に引っ込めてゼリー状の塊に変身する。消化器官 (gut) の他にも、「神経細胞組織 (network of neurones)」があり、触手に触れた小魚にも俊敏に対応できる能力がある。

 驚くのはまだある。年代を遡り、7億年前の人類の先祖 (ancestor) をたどると、何と、イソギンチャクの先祖にたどり着くという。

 7億年間に人類は進化し、「思考 (thought)」と「記憶 (memories)」と「意識(consciousness)」を得た。 一方、袂を分かち、「ゲノム (genomes)」の進化の方向を変えたイソギンチャクの仲間は、この7億年間で「永遠の生命」を手に入れた。

 今、人間は、「永遠の若さと美しさ」が欲しいと言う。イソギンチャクは「思考)」、「記憶」、「意識」を欲しいと言うだろうか。

 生物の「進化 (evolution)」とは、種の生存と幸福を求めるものではなかったか。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com