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火星の濃厚塩水流れ:斜面に縦縞模様の彫刻 (BBC-Science & Environment, September 28, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/2830/production/_85788201_perspective_6-1024x532.jpg

 火星の赤道 (equatorial) 付近の斜面で、黒っぽい「複数の縦縞模様 (Recurring Slope Lineae, RSL)」が発見された。その縞模様こそ、火星の表面では、時折、水が流れている証拠。

 しかし、火星の気温は0℃以下。また、その大気圧も極めて低く、たとえ、氷が溶けたとしても、すぐに蒸発してしまうはず。長年、科学者は、火星表面の水の流れを説明できなかった。

 この「謎 (conundrum)」が一気に解けた。切っ掛けは、NASAの火星偵察衛星「Mars Reconnaissance Orbiter, MRO」に搭載された化学分析装置「Crism」による解析データ。データを読み解くと、火星の表面で確認された、縦縞模様の黒っぽい化学物質の正体は、塩類(salts)であることが判明した。「過塩素酸マグネシウム (magnesium perchlorate)、「塩素酸塩 (chlorate)」、「塩化物 (chloride)」から成り立つ塩類で地形表面が覆われていた。

 火星の水が、塩類を多量に含む「塩辛い水 (briny water)」となれば、話は全く別。火星のような大気環境でも、十分に水の流れは起こり得る。塩類が水の「氷点 (freezing point)」を80℃下げ、「気化速度 (vaporization rate)」を1/10に減少させる (drop by a factor of 10)からだ。
 
 しかし、その水の源流はどこか。これに関しては未だ不明。おそらく、地下深くに氷の状態で存在し、夏期に溶けて流れ出るのでは、と考えられている。

 火星に水があることが確定されると、そこには「微生物 (microbes)」あるいは「極限微生物 (extremophiles)」の生息することも、極めて有望となる。
 また、将来、「宇宙飛行士(astronauts)」が宇宙船から火星に降り立ったとき、生命維持に欠かせない水を、その地で入手できることになる。

 ただし、これには疑問を呈する科学者もいる。Dr Peter Grindrodもその1人。

"Planetary protection states that we can't go anywhere there is liquid water because we can't sterilise our spacecraft well enough to guarantee we won't contaminate these locations. So if an RSL is found within the landing zone of a probe, then you can't land there."

[ 宇宙検疫規定は、水が存在するいかなる宇宙の地にも降りたってはならない、と定める。未だ、人類は、宇宙船の消毒に不十分であり、宇宙を汚染しないことが保証できていないからだ。したがって、もし、有人火星探査機の着陸地一帯に、縦縞模様RSLの地形が確認されたとすれば、その地に降りてはならないことになる。
                                                                                                                                                  (写真は添付のBBC Newsから引用)
  

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