ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

デービー灯:50万の命を救った「ともしび」 (BBC-News, September 26, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/624/cpsprodpb/E1EB/production/_85753875_davylamp2bbc.jpg

 今からちょうど200年前の1815年、イギリスで「デービー灯(Davy Lump)」またの名を「安全灯(Safety Lump)」が発明された。発明者は化学者で発明家のハンフリー・デービー卿(Sir Humphry Davy, 1778-1829)。

 それ以前に、炭鉱の地下深くで働く坑夫が手にする照明と言えば、「ローソク(open candles)」だけ。炭坑には、メタン(methane)の湧出が付きものであった。このローソクの火がメタンに引火し、どれだけ多くの悲惨な爆発事故を招いて来たかは、歴史書に記載されているとおりだ。デービー灯の発明により、世界中の鉱山・炭坑で、50万人の命が救われたと考えられている。

 デービー灯とは、植物油のランプを頑丈な金属製の型枠に入れた携帯用照明器具だ。ただし、炎が燃え上がる口金の周囲に、細かい金網を回し、火の粉が金網の外に飛び出さないように、工夫がなされている。

"As well as providing light, it acted as an indicator for the presence of methane - when it would burn with taller, bluer flame, and of a lack of oxygen, when the lamp would be extinguished."

 この「灯火(ともしび)」の特徴は、炎がメタンに引火するのを防ぐ他に、メタンの検出器としても利用できることにあった。

 メタンは、5から15%の濃度で爆発(explosion)する恐ろしい可燃性ガスだ。空気よりも比重が重いため、坑内の下盤(したばん)近くで濃度が高い。デービー灯の炎は、メタンの濃度に比例して、その炎は長く、青白く燃え上がる。もちろん、酸素が足りない場所では火が消える。

 現在は、多くの炭坑で「精密なメタン電子監視シルテム(sophisticated electric monitors)」が採用されてはいるが、湿度も温度も高く、炭塵が舞い上がるような苛酷な作業現場では、そのシステムの故障をゼロに抑えることは難しい。これに反して、デービー灯の構造は、至って単純で、故障が少ない。これが発明以来200年間も使用されている理由だ。

 化学者デービー卿は、世界で初めて「電気分解(electrolysis)」による「ナトリウム(sodium)」と「カルシウム(calcium)」の分離に成功したことでも知られている。また。「麻酔薬(anaesthetic)」あるいは当時、「笑気(laughing gas)」とも呼ばれた「亜酸化窒素(nitrous oxide)」の研究にも取り組んだ。しかし、余りにも、熱中になりすぎて、麻酔薬の中毒(addiction)に罹るという悲劇が生ずる。

 なお、ただ今、デービー灯は、Walesの都市Wrexham(レクサム)の「バーシャム炭坑(Bercham Colliery)」跡地に建つ「鉱業博物館(mining museum)」で、「200周年」を記念して展示中と、記事は伝える。

                           (写真は添付のBBC Newsから引用)
  

www.bbc.com