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スコットランドの「雪ことば」:細雪、渦巻き雪、吹雪 ・・・ 421種 (BBC-News, September 23, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/695/cpsprodpb/1794B/production/_85678569_snow.jpg

 原題の「Scots」は「Scottish」の意味。すなわち、スコットランド人あるいは彼らの話す「Scottish accent」の英語を指す。
 グレートブリテン島の北半分を占める、現在のスコットランドは、5世紀頃にケルト系「ゲール人(Gaelic)」がアイルランドから移住し、住み着いた地域であった。したがって、10世紀頃までは、「Scotland」と言えばIrelandと現在のScotlandの一帯を指した。
 
 ゲール人は、独自の言語と文化・伝統を持っていた。今ではスコットランド民族の伝統を代表するものとして知られている「キルト(kilt)」や「バグ・パイプ(bag pipes)」の発祥も、実は、アイルランドだ。
 しかし、1707年にイングランドに統合されると、学校では「English (英語)」のみで教育されるようになったため、ケルト語系Gaelicの流れを汲む「Scottish Tongue」は陰を潜めて行った。
                                                            
 しかし、「Scots」の血肉となっていた言葉は残った。それは、「天候(weather)」を表わす多種多様な語彙、とくに「snow (雪)」にまつわる語彙「雪ことば」は421種に及ぶ。
 Glasgow大学が「スコットランド語歴史シソーラス(The Historical Thesaurus of Scots)」としてまとめた研究結果によると、

"Weather has been a vital part of people's lives in Scotland for centuries. The number of words in the language show how important it was for our ancestors to communicate about the weather, which could so easily affect their livelihoods."
 
[ 天候は、何世紀にも渡って、スコットランド人の暮らしに深く関わって来た。話す言葉の中に、天候を表わす表現がたくさんあるということ。それは、毎日の生活がその日の天気にすぐに左右されてしまう時代に生きた先祖にとって、天候の情報を互いに伝え合うことが、いかに重要であったかを物語るもの。]

  シソーラスに収録された「雪ことば」の一例を示すと、

  [Scots]   [English]
・snaw - snow
・sneesl - to begin to rain or snow (雨や雪が降りはじめる)
・feefle - to swirl (雪が渦巻く)
・flindrikin - a slight snow shower (細雪
・snaw-poouther - fine driving snow (猛吹雪)
・spitters - small drops or flakes of wind-driven rain or snow (吹きつける雨滴や雪片)
・unbrak - the beginning of a thaw (雪解け)

 「Scots」に限らず、暮らしに根付いた言葉は方言と同じだ。そこには、標準語に直接置き換えることがむずかしい「微妙な人の気持ち」や「自然の表情、風土」が的確に表わされている。それは、先祖が使いこなし、磨きに磨きを掛けた「無形遺産(intangible heritage)」ともいえる。
                           (写真は添付のBBC Newsから引用)
 

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