地球から太陽までの距離は、およそ1億5千万km。その約33倍も離れた宇宙のかなたで、いまNASA (アメリカ航空宇宙局)の探査機「ニューホライゾンズ(New Horizons)」が、「準惑星冥王星(dwarf planet Pluto)」の調査を続けている。
この2ケ月弱の間、探査機は、「エネルギー粒子(energetic particles)」や「宇宙塵(space dust)」などに関するデータ収集に追われ、画像の送信を一時中断していたが、先週、この「Ⅰ年分の記録データ(a year-long data dump)」を地球に送り始めた。
科学者が新たに手にした画像の中で、最も注目したのは、「不思議な地形(intriguing terrains)」が映し出された1枚。「スプートニク平原(Sputnik Plenum)」の西端で、暗く写ってはいるが、凹凸の隆起した尾根が続く地形(aligned ridges)だ。
それは、まるで、強い風が地上に吹いて形成された「砂丘(dunes)」のように見える。
"Pluto's atmosphere is considerably thinner than Earth's, with a pressure at the surface about 10,000 times lower. How it can generate winds of sufficient force to move particles is a major puzzle."
[冥王星の大気は地球に比べて極めて薄く、地上の大気圧は、地球のそれの1万倍も小さい。そのような気象条件下で、地面の固体粒子を移動させるような強い風が、どのようにして発生するのか。これは大きな謎だ。]
過去において、冥王星の大気は、現在よりももっと濃厚であったのか、それとも、現段階では考えもつかない何らかのプロセスが働いて、砂丘が形成されたのか、まるで検討がつかず、科学者は頭を掻きむしりたくなる状態(a head-scratcher)だという。
なお、探査機ニューホライズンズの「集積データ(stored data-set)」の全てが、49億kmの距離を経て、地球上に届くのは、2016年の終わり頃になる予定。
今後、探査機は、冥王星の周回軌道を離れて、冥王星からさらに15億km先の、太陽系の外れに向かう。その宇宙区間には氷の天体「2014 MU69」が待ち受ける。次の旅先にたどり着くのは2019年とか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)