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海鳥(うみどり):プラスチック汚染ゴミでボロボロの危機 (BBC-Science & Environment, September 1, 2015)

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 また、一つ、かけがえのない生態系が壊されようとしている。うみ鳥(seabirds)だ。いつか、海上の空に、うみ鳥が飛ばない日が来るかもしれない。それほど、事は深刻。

 「母なる海(the Mother ocean)」と言われるように、生物(creatures)は海から誕生した。その海の汚染(pollution)がこの数十年間で急速に進んでいる。原油海洋採掘のミスやタンカー事故で流出した膨大な量の原油、不法投棄された医療廃棄物、漁網にノリ養殖業者が捨てた廃ポリ容器、各種の生活用品、おびただしい数のプラスチック類、それにセシウムストロンチウムなどの放射性物質まで加わった。すべて、現代人の「わがまま」、「権力」、「欲望」、「ごまかし」が自然に廃棄したゴミ(debris)、汚染物質(contaminants)。

 固形のゴミは、漂流する間に、やがて、壊れて小片(fragments)や微粒子(microplastics)に姿を変える。これは、うみ鳥や魚にとってエサと区別がつかない。その上、消化はできず、おまけに有毒な化学物質を含む。野生の生物、とくに海洋生物は、人間のゴミから逃れなくなっているのだ。

 今から55年前の1960年、うみ鳥の調査が行なわれたとき、その胃の中にプラスチック破片が見つかったうみ鳥は、わずか5%以下であった。ところが、今日では、全世界のうみ鳥約400種の90%が、何らかのプラスチック破片を飲み込んでいるという。2050年になると、その数値は、ほぼ全てのうみ鳥に相当する99%に増加すると見込まれている。

 なぜ、うみ鳥がプラスチック・ゴミを摂食してまうのか。それは、うみ鳥にとって、プラスチックの100円ライターも、ピカピカ光るビンの王冠も、エサの魚と区別がつかないからだ。細かく砕けたプラスチックも含め、みなエサと間違えて飲み込んでしまう。
 これらは、一度体内に入ると、消化されて排出されることはなく、胃の中に留まり続ける。やがて、うみ鳥は肝心のエサが摂れなくなり、死んでしまう。したがって、死んだうみ鳥の胃の中は、プラスチックのゴミでいっぱいだ。

 最近、行なわれた調査によると、海洋に投棄されるプラスチック廃棄物(plastic waste)の量は、年間800万トンに達する。ゴミは太平洋を大循環し(great ocean gyres)、小笠原諸島南方の海域とカリフォルニア沖海域の2カ所に巨大な漂流ゴミの「ゴミ溜まり(garbage patches)」ができていることは、よく知られた事実だ。

 しかし、幸いなことに、その海域を生息域とするうみ鳥は少ない。うみ鳥が最も多く生息し、したがって、今、うみ鳥の生息環境が最も脅かされている場所は、オーストラリア大陸を取り巻く、南アフリカ、南米にまたがる帯状の海域。

 その解決策はあるのか。この研究のリーダーで「オーストラリア連邦科学産業研究機構(The Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation, CSIRO)」のDr  Chris Wilcoxは、次のように説明する。

"The more plastic they're exposed to, the more they ingest - this implies that if we reduce the amount of plastic going into the oceans, you would expect all these spices to essentially respond."

[うみ鳥は、プラスチックに曝(さら)される機会が増えると、それだけ頻繁にそれを摂食することになる。海に捨てるプラスチック・ゴミを減らせば、どの種のうみ鳥も、まともな生態を取り戻せるはずだ。]

 さらに、プラスチック汚染問題を解決するためには、「ゴミ処理の改善」、資源の再利用を考慮した「もの作り」や「プラスチック代替品(material substitution)の開発」などを進めることが求められるという。

 それにしても、うみ鳥には気の毒だ。この記事で提示された、どの解決策も、現在のところ、ほとんど望み薄。

 なお、研究内容は「米国科学アカデミー(Proceedings of the National Academy of Science)」)に発表された。
                               (写真は添付のBBC Newsから引用)
 

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