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山が山でなくなった:モイルウィン・マウル山 (BBC-News, August 9, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/D0C5/production/_84754435_mountain.jpg

 ふるさとの山は、たとえ小さくても、そこには人それぞれの特別な思い出があり、愛着があるもの。山は、ときに「心の支え」となることもある。

 では、改めて、どのようなものを山と呼ぶか、と問われると、正確な回答が気になる。
広辞苑はつぎのように、記す。

「平地よりも高く隆起した地塊。谷と谷の間に挟まれた凸起部。古く、神が降下し領する所として信仰の対象とされた。」

 一方、イギリスで最も広く利用されているCOD(Concise Oxford English Dictionary, 12 ed.)に、山(mountain)を探すと、

"an elevation of the earth's surface rising abruptly and to a large high from the surrounding level."
[地表が突然隆起し、周囲の地面から高くそびえるようになった地形。]

 この2つの辞書の語義の説明文には、日本とイギリスの「山に対する民衆の思い」の違いが現われれているように思う。

 さて、表題の記事では、ウェールズ(Wales)の山の話題が語られる。ウェールズには190の山があるとされてきた。ところが、このほど、最新のGPS測量技術(the latest GPS technology)を駆使して、山の高さを測量したところ、地元の住民から「郷土の山」として親しまれてきた(symbolized)山が、丘(hill)に格下げ(downgrading)になってしまったという。その山の名は「Moelwyn Mawr」。ウェールズ語で「モイルウィン・マウル」のように発音する。Snowdonia(スノードニア)国立公園として知られた場所だ。

 山と呼べない、その根拠は、権威ある山のガイドブック「The Mountains of England & Wales」に明記された「山の基準(criteria)」にある。

"The guidelines said a peak needs to be 2,000ft(610m)high and have a 49ft(15m)height difference between the summit and the land that connects it to the next highest hill."

[そのガイドラインによると、山頂の高さは610m以上で、かつ山頂は、山頂とこれに続く峰に挟まれた谷から15m以上の高さがあること。]

 新たに確定されたMoelwyn Mawr山の標高は609.77m。確かに山の基準の高さに23cm不足する。ウェールズ語で「Mawr」とは大きいと言う意味。それを「小さい」と判断した測量会社「G&J Survey」は、ウェールズ住民から恨みを買うこと必定。

 そこに、ほんの小さな石塚でもあれば、正真正銘の山(mountain)として、山のリストに記載されていたとは。Englishmanも人が悪い。

                    (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com