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お酒のたしなみ量:イギリス政府が決めるの? (BBC-News, August 5, 2015)

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 「アルコール(alcohol)」の語源には驚く。1400年代、英語で「alcohol」と言えば、なんと「アイシャドウ(eye shadow)」のこと。この言葉は「al」と「cohol」の2つの語から構成されている。「al」とはアラビア語の定冠詞、「cohol(kuhlの変形)」とは、「東洋でアシャドウに用いられた金属の細かい粉」を表わす。
 それが、不思議にも1700年代中期になると「酒」とくに「ワインのアルコール分」の意味に変化した。ブドウからワインができるように、コメから酒ができるように、「金属の粉」が民衆の間で発酵(brewing)し、アルコールに変わったのだ。

 酒にまつわる話は多い。酒飲みを上戸(じょうご)とも言う。「笑い上戸」に「泣き上戸」は、周囲にいくらでもいる。「酒の上での不祥事」には事欠かない。

 さて、イギリスで政府が出した「御触れ(official guidance)」が物議を醸している。

"Men are currently recommended to drink no more than three or four units a day and women no more than two or three."

[お酒をたしなむなら、現時点では、男性は1日3ないし4ユニット、女性は2ないし3ユニットが望ましい。]

 これでは、第一、なんのことやら、よく分からない。文面中のユニット(unit)とは何か。物理、工学の分野で「unit system」と言えば「単位系」を指し、「絶対単位系(absolute unit system)などと言う。政府のアルコールユニット(alcohol units)とは、ビール用のパイントカップ(pints)それともボトル(bottles)、あるいはグラス(glasses)のことか。イギリス人は、みな面食らった。つまり、基準単位(fundamental units)が不明確なのだ。
 酒の酔いが回った上戸にとっては、まったく意味不明。ユニットを酒樽(barrels)単位と勘違いし、「いかにお役所のお勧めとは言え、そんなに飲めない」と、くだを巻くに違いない。

 「英国タバコ・酒類研究センター(The UK Centre for Tobacco and Alcohol Studies)」がStirling大学とSheffield大学の協力を得て、スコットランドイングランド北部の住民を対象としたアルコール動態調査を実施し、その結果を「Addiction journal」に発表した。

 それによると、ほとんどのイギリス人は、毎日お酒を飲んでいるわけではないこと、しかし、週末には、「へべれけ」になるほど、飲むことが明らかになったという。
 さらに、研究者は次のように指摘する。

"When participants did regulate their drinking, this was usually down to practical issues such as needing to go to work or having childcare responsibilities, rather than health concerns or due to guidance on safe limits."

[研究に参加してくれた住民にとって、お酒を飲むことは、仕事に出かけたり、子供の世話をすることと何ら変わらない、日常生活の一部になっている。誰も、健康を気にしてお酒を飲んだり、政府の適量ガイダンスに従ってお酒を飲むことはしない。]
 
 ようするに、政府のガイドラインは非現実的(unrealistic)との声が大きい。。
 これは、むずかしい問題だ。アルコール依存症(alcoholism)に苦しむ人が多いことも事実。人の嗜好と社会医療の両面から考える必要がある。
 たとえば、砂糖の入ったチョコレートを食べると、虫歯になる可能性が高くなる。そこで歯科医院で治療すると、確かに治療費がかかる。だから、「チョコレートは1年でほんの一片だけ」と、政府が極端なガイドラインを決めたら、チョコレートファンは黙っていられないだろう。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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