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スコットランドの恐竜(日刊紙):縮まる (BBC-News, August 4, 2015)

http://ichef.bbci.co.uk/news/768/cpsprodpb/5022/production/_84641502_papers.jpg

「dinosaur」の語源は2つのギリシャ語「deinos (terrible)」と「sauros (lizard)」から由来し、「恐ろしいトカゲ」という意味だ。何が恐ろしいかと言って、まず、体がとてつもなくでっかく、手当たり次第に生き物を捕まえては食ってしまう。だから、恐ろしい。今から、2億5千年前に地球上に現われた恐竜のことだ。
  この「dinosaur」には、もう一つの意味がある。「世の中の変化について行けず、時代遅れになった代物」。

 さて、「新聞」という言葉が、日本で「newspaper」の訳語として使われ始めたのは、明治維新(1868年)の頃とされている。英語に至っては、その約200年前の1670年に、初めて「newspaper」の語が世に出たと言う。とにかく、「新聞」の誕生後は、イギリス、日本のどちらでも、「良識があり、信頼できて、公平、公正な情報源」として、世に受け入れられて来た。新聞の「会社」は、どんどん成長し、巨大な金を動かし、社会(世論・人気)さえ左右する巨大な「システム」となった。


 しかし、皮肉なことに、かって、数億年前に絶滅した恐竜がそうであったように、体が余りに大きくなり過ぎると、環境の変化に気づきにくくなる。

 これは、スコットランドの話。
 つい、16年前の1999年、スコットランドでは、住民(Scottish)の76%が、毎日、日刊紙(daily newspapers)に目を通していた。その数字が、2014年になると41%に落ち込む。この15年間で、新聞購読者の35%が新聞に見切りをつけたことになる。

 その一方で、2014年に限ると、スコットランド人の33%(3人に1人)は、少なくとも1日に一度はネットニュース(online news or newspaper websites)をチェックしていることがわかったという。なかでも、年齢25歳から44歳の世代がもっともネットニュースにアクセスし、逆に65歳以上の高齢者にはネットアクセスを避ける傾向があった。「スコットランド社会動態調査(The Scottish Social Attitudes survey)」のデータ分析の結果である。

 「スコットセン社会研究所(ScotCen Social Research)」の責任者Rachel Ormston氏は次のように述べる、

"It is clear that the way we consume news is constantly evolving with 1 in 3 of us reading news online on a daily basis."
[ニュースの読み方は、日に日に進化している。今や、3人に1人が、ほとんど毎日オンラインでニュースを読む時代だ。]

 アメリカで新聞を購入すると、まず、そのページ数の多さに驚く。次に、不動産、電化製品、車などの広告で埋まった紙面が、これでもか、これでもかと続くのに驚く。さらに、細かい文字がびっしりと並ぶ紙面に、肝心の有益な情報が少ないのにも驚き、呆れる。それを「買って、読んで、紙はリサイクルに」と読者に請求する「会社」自体が、何らかの病気に病んでいるとしか、思えない。

 時代に乗り遅れるどころか、すっかり、退化(devolution)している。恐竜は、その足で踏みつけている、他の生物の存在を忘れて、どんなに吠え立てたところで、恐竜は恐竜(dinosaur)のままだ。

 日本では、新聞を活かす「知恵」も「信頼」も「人物」もまだ生き残っていると信じたい。よもや、新聞が権力者にしっぽを振って懐を稼ぐようなことはしないだろうと。

                          (写真は添付のBBC Newsから引用)
 

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